商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 創出版 |
発売年月日 | 2018/07/01 |
JAN | 9784904795538 |
- 書籍
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開けられたパンドラの箱
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商品レビュー
4.3
8件のお客様レビュー
第62回ビブリオバトルinいこま「全国大会予選会」で紹介された本です。チャンプ本。 2019.1.27
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幻冬社文庫の『やまゆり園事件』を読んだときから、この事件についてもう少し踏み込んだ事を知りたいと思っていたので読みました。 植松死刑囚の手記、書簡などに期待していたのですが、第3部の精神科医による分析が、1番求めていたものに近い内容でした。 思想/妄想、司法/医療、監視/支援...
幻冬社文庫の『やまゆり園事件』を読んだときから、この事件についてもう少し踏み込んだ事を知りたいと思っていたので読みました。 植松死刑囚の手記、書簡などに期待していたのですが、第3部の精神科医による分析が、1番求めていたものに近い内容でした。 思想/妄想、司法/医療、監視/支援それぞれの狭間で、行き場をなくして事件へと突き進んだ死刑囚は、はたして特異な人間であったのか。 生きる価値のある命とそうでない命が分たれるとするならば、自分はボーダーラインの内側に立っているだろうか、そんな不安は誰もが感じたことがあると思う。 強さに憧れ、整形手術を受け、刺青を入れ、違法ドラックや大麻に溺れ、それでも足りなくて、弱者を傷つける事で無理矢理自分の外にボーダーラインを引く事でしか、今いる場所が"内側"だと信じることが出来なかった植松死刑囚の感じた恐怖は、行き詰まった資本主義社会の中で多かれ少なかれ誰もが抱えている病理だ。 障害者差別、優生思想と結びつけられて非常にセンシティブな事件として扱われているが、植松死刑囚のコンプレックスが投影できたのが、彼の生活圏内ではたまたま障害者であっただけで、例えば彼が老人ホームで働いていれば高齢者が、病院で働いていれば回復の見込みがない患者が、児童養護施設で働いていれば素行の悪い児童が犠牲になっていてもなんら不思議ではなかったと思う。そこに彼が彼なりのボーダーラインを引く詭弁さえ見つかれば。 この事件を、"特別"な異常者が、"特別"な人達に対して起こした、"普通"の自分達には関係のない事件として、風化させてはいけないという『創』編集部の気概を感じる。 続刊も読もうと思います。
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2016年に相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を風化させてはならないと、事件の背景を慎重に検証している。読んでいると常に「あなたはどう考えるか」を問い詰められているようで、非常に重たいテーマの本だった。この事件では被害者の名前を匿名で報じたことも含めて議論が起こり、日本の社会と...
2016年に相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を風化させてはならないと、事件の背景を慎重に検証している。読んでいると常に「あなたはどう考えるか」を問い詰められているようで、非常に重たいテーマの本だった。この事件では被害者の名前を匿名で報じたことも含めて議論が起こり、日本の社会と人の心の在り方が問われている。 被告が編集部等に充てた手紙の内容や書いた漫画など、「読むに堪えない内容」も、事件の真相を解明するためにあえて掲載されている。とは言え、関係者の感情や安易に被告に賛同するような風潮を作らせないように細かく配慮されている。 著名な精神科医2人による対談の中で交わされた一節が刺さってきたので抜粋したい。 「(この事件を起こした被告のような)犯罪を起こすかもしれない奴のために税金を使うな。どこかへぶちこむか死刑にしてしまえということを言う人がいる。」 「自分が被告とそっくりなことを言ってることに気づかずにね。」 本書が解明したいことの、大きな要素の一つと受け止めた。
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