商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 2018/07/10 |
JAN | 9784560096338 |
- 書籍
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引き裂かれた大地
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引き裂かれた大地
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商品レビュー
3.3
3件のお客様レビュー
中東の複雑な情勢に翻弄される国も立場も性別も違う6人が描かれている。群像劇風な展開で、でそれぞれに高まる緊張感が伝わってきました。一寸先も分からない情勢、複雑な民族関係など、とても一括りでは語ることが出来ない中東の実情がリアルに描かれていました。
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本書は主に2000年ごろから2016年のイラク、シリア、エジプト、リビアにおいて6人の人物の体験をインタビューによって追ったもの。時系列で断片的な描写になっているため、テレビのドキュメンタリーのような趣きがある。 この間、自分としては割合に関心を持ってこの地域のニュースを眺めていたつもりだったけれども、当事者たちの体験はニュースからは解らない感覚を語っており、とても興味深かった。西側諸国の報道は西側諸国の都合と願望と偏見がベースになっていると改めて思い知る。 外国人が正義だと思うことと、現地にいて選べる選択肢は全くー致しないことが多い。例えば、人々は改革を求めたけれど、国の解体を望んだわけではないこと。 登場する人たちが国民代表というわけではないし、アメリカから来た記者のインタビューに答えることが可能な人たちというのは、かなり特殊な立場にある人たちなのかも、ということは留意すべきだろうけれど、それでもー読に値すると思った。 中東以外の諸外国は、本当にもう手を出さないほうがいい。 以下は内容についての私の覚え書きなので、興味のある方は読まずに本書をすぐに読むことをお勧めします。なぜならこのあと情勢はまだまだ動いているので、古くなりすぎないうちに。 ---------------------ネタバレ注意--------------------------------- マジドはホムスの富裕層が住むワエル地区で育った。両親はー応のイスラムだが、息子をキリスト教系の学校へやっても不都合を感じなかった。ホムスでマジドが見た自由シリア軍(FSA)は, 日和見主義者と臆病者の群れだった。さまざまな武装勢力は近所の自警団に毛が生えた程度のものだったが、特にFSAに対してマジドは軽蔑の気持ちを高めていった。「少なくともイスラーム主義のグループには信条と規律があった。だけど、ワエルのFSAのほとんどは、銃を持ってうろついて人を怖がらせたいだけの若い連中に過ぎなかった」 ある日マジドが知るFSA指揮官は、部隊ごとイスラーム系勢力に吸収された。しょげた様子の指揮官は禁に従ってタバコをやめたという。 あとがきより 20人近い元ISIS戦闘員とのインタビューのなかで、イスラームへの信仰が理由でISISに加わったと話したのは、たった一人しかいなかった。
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イラク戦争以降、アラブの春くらいまでの中東の情勢を、6人の視点で報道するドキュメンタリー。各人が見聞きしたことを筆者が丁寧に取材し、生々しい中東の現場をレポートする。悲惨な内容であるのは読まなくても分かる。その凄惨さが個人の目を通すことで、説得力が増している。 そもそも、中東が...
イラク戦争以降、アラブの春くらいまでの中東の情勢を、6人の視点で報道するドキュメンタリー。各人が見聞きしたことを筆者が丁寧に取材し、生々しい中東の現場をレポートする。悲惨な内容であるのは読まなくても分かる。その凄惨さが個人の目を通すことで、説得力が増している。 そもそも、中東がこんなにも不安定なのは、イギリスを筆頭とする欧米諸国に原因がある。地図上に勝手に国境を描いたからだ。しかもイラク戦争での米国の失策も重なり、ISISの台頭を招いた。中東はきっと千年後も不安定なままだろう。
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