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和の心コズミックスピリット 世界を照らす縄文の叡智
2,035円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 徳間書店 |
発売年月日 | 2018/06/30 |
JAN | 9784198646523 |
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和の心コズミックスピリット
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※このレビューにはネタバレを含みます
「日本スゴイ!」系の書籍やバラエティ番組が氾濫して久しい昨今だが、本書も日本文化を礼賛している点で、それらの部類に属するとの懸念も無きにしも非ずかもしれない。だが、それは不当な評価だとすぐに気づかされる。確かに、日本文化の長所をことさら取り上げ、戦前の日本文化に触れた来日西洋人による驚嘆に満ちた賛辞の数々を多く紹介しているが、それは純粋に、日本文化に息づく精神の実態を紹介するためである。ことさらに「日本スゴイ!」の言説にすがりつき、己の劣等感を糊塗しようとのさもしい動機に基づくものでないことだけは明白だ。 著者によれば、日本文化の神髄は、「型」にあるという。言葉による教えでなく、型を身に着けること。これによって居住まいが正され、おのずから生き方、精神が育み受け継がれる。 「型」とは何か。それは、中心に柱を据えた空間構造によって育まれる何かだ。それは縄文よりはるか以前、3万数千年にもさかのぼる旧石器時代から連綿と受け継がれてきた文明だ。世界の人類がまだ磨製石器を手にしていなかった時期に、日本では磨製石器が出土されていたのだという。そうした文明で分かっているのは、人々が円形集落を作っていたということ。これもまた、世界に先駆けてとのことだそうだ。 円形集落は、中央に大きな柱を立て、それを取り囲むようにして二重三重に家々が立っている、そのような集落だ。それは縄文時代にそのまま引き継がれ、弥生時代に入るまで、変わることなく人々の営みを形作っていたのだという。 それと相似形で、各家々も建てられた。中心には囲炉裏が焚かれ、それを取り囲むようにして家族が寄り添い、暖をとり、食事を共にした。やがてその中心軸には柱が取って変えられていくが、囲炉裏すなわち火もまた神として扱われたことからして、人々の中心に座していたことに変わりない。日本語では神を「一柱、二柱」と数えるのも、この中心軸に据えられた柱に由来する。 古民家では、大黒柱と竈が家の中心であり神の住まう場として敬われている。この空間構造のもとに、人の体もまた、中心軸を一本建てた姿勢が求められる。それが日本文化全般に広がりを見せている。茶道、華道、弓道、そして神道まで、一貫して「道」を呈するのも、中心に一本揺るぎない柱を立てるようにして、軸の座った姿勢を保ち、そこから環状に広がりを見せる所作のありようを示すからだ。そこから立ち現れ、体現されたのが、一貫した日本文化の有りようといえる。つまり、「型」から入り、「型」を身に着けることであり方、生き方、考え方、感じ方のすべてを体得させる、それが日本文化であり、そのおおもとはすべてこの縄文をはるかにしのぐ古来から連綿と受け継がれてきた、中心軸を包み込み、囲い込むようにして暮らしてきた我々の祖先に由来するものだという。 一読して、静かなたたずまいの中にも確信に満ちた言葉が紡ぎ出された良書だとの印象を受けた。日本文化とはかくあるべきかな、つまり、てらわず、あくまで慎ましやかに、謙虚に、しかし核心となる言うべきことは伝えきる、というこの著者のたたずまいこそ、まさに日本文化の良質性を伝うるに適役だと思わされずにはおれない。「日本スゴイ!」系との格の差を見せつけられる一冊であった。
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