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モラルの話
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モラルの話

J.M.クッツェー(著者), くぼたのぞみ(訳者)

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モラルの話

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 人文書院
発売年月日 2018/05/30
JAN 9784409130407

モラルの話

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商品レビュー

3.7

4件のお客様レビュー

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2020/01/19

何度も読み返して自分の頭で考えたいと思う、思考実験本。なんの前情報もなく読んだので、モラルについて苦言を呈するような評論かと思いきや世界共通のモラルに関する爽やかな小話、という感じで読みやすかった。ジェンダーや婚姻制度、親の高齢化など絶対的正義が存在しえないようなテーマのため、爽...

何度も読み返して自分の頭で考えたいと思う、思考実験本。なんの前情報もなく読んだので、モラルについて苦言を呈するような評論かと思いきや世界共通のモラルに関する爽やかな小話、という感じで読みやすかった。ジェンダーや婚姻制度、親の高齢化など絶対的正義が存在しえないようなテーマのため、爽やかとは言い切れないかもしれないが、説教くさくないところに爽やかさを感じた。また、テーマも実に現代的で、日本語に翻訳された本しか読むことのできない圧倒的情報弱者の読者としては、これが10年以上も前の本だったら困る、と不安に駆られたが2016-2017年に書かれた本であるというから、現代人の頭痛の種は世界共通なのだなぁと安心することができた。

Posted by ブクログ

2018/10/17

クッツェーも歳を取ったんだなあ。 「私たちは歳をとると、肉体のあらゆる部分が劣化したり混乱に陥ったりして、それが細胞にまでおよぶ。古い細胞が、まだ健康であっても、秋の色に染まる。これは脳細胞にも起きる。(中略)秋を迎えた脳が思いつく欲望は秋にふさわしい欲望で、幾重にも記憶に彩られ...

クッツェーも歳を取ったんだなあ。 「私たちは歳をとると、肉体のあらゆる部分が劣化したり混乱に陥ったりして、それが細胞にまでおよぶ。古い細胞が、まだ健康であっても、秋の色に染まる。これは脳細胞にも起きる。(中略)秋を迎えた脳が思いつく欲望は秋にふさわしい欲望で、幾重にも記憶に彩られたノスタルジックなものになる。もう夏の熱気はない。たとえその欲望が強烈であっても、その強度は複合的で、多面的で、未来より過去に向かうことが多い。(P56~57)」ホントね、上手いこと言うわ、としみじみ思う。 「本当の真実は、あなたは死にかけてるということです。本当の真実は、あなたは片足を墓の中に突っ込んでいるってことです。本当の真実は、すでにあなたはこの世では無力で、明日はさらに無力になり、日一日とそれは進んで、もう手の打ちようがなくなる日がやってくるということです。本当の真実は、あなたは交渉する立場にないこと。本当の真実は、あなたはいやだとは言えないこと。本当の真実は、時計が時を刻むことに対してあなたはいやだとは言えないということ。」(P108)畳み掛ける老いの真実。 しかし分娩中の猫やベルトコンベアにのせられたひよこに対する優しさもある。優しさなんて言ったら怒られそうだけど。「長靴を履いた男が、たとえばあなたが分娩中で攻撃を受けやすく、無力で、逃げられないことをいいことに、あなたを蹴り殺すような世界に私は生きていたくない。わたしの子供たちが、ほかの母親の子供たちにしても、数が多すぎるという理由で、母親から引き離されて溺死させられるような世界に生きていたくないの。」(P87) パワーは衰えたかな。昔よりとっつきやすくなった気がするクッツェー。でも知的で毒気たっぷりは変わらず。今後さらに老いを見つめた小説を書いてくれることを祈る。 しかし、猫に性格はある。表情筋が少ないのは群れで生活しないからで、表情があまりないからって感じていないわけではない。人間もそうだけど。それに、意外と表情あるよ。一緒に暮らしたらわかる。 あと、P52のミズスマシってアメンボの間違いではないのかな?足が長い羽虫とあるから。ミズスマシは足そんなに長くないし甲虫だよね。

Posted by ブクログ

2018/10/05

モラルという普段考えるようで考えずに生きてしまっていることに対して読み物として考えさせられる本。ストーリーは読みやすいながら、一つの物事に対する複数の視点からの物の見方や考え方を追体験できる。新たな考えに気づかされるというより、自分の中にある考えが発露するイメージ。その考えの中に...

モラルという普段考えるようで考えずに生きてしまっていることに対して読み物として考えさせられる本。ストーリーは読みやすいながら、一つの物事に対する複数の視点からの物の見方や考え方を追体験できる。新たな考えに気づかされるというより、自分の中にある考えが発露するイメージ。その考えの中には正に世の中の常識や社会通念的に悪とされたり良くないとされているものもあるので自身の心の中に留めているものも多いと思うが、そういった考えをストーリーの登場人物たちが代弁してくれている事で少し心が楽になる(?)気がする。

Posted by ブクログ

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