商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 砂子屋書房 |
発売年月日 | 2018/03/10 |
JAN | 9784790416708 |
- 書籍
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吉川宏志歌集
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吉川宏志歌集
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著者はNHK短歌選者もなさってます。木下龍也さんは目標としている歌人として穂村弘さんとこちらの吉川宏志さんを挙げておられます。 18~25歳までの歌をまとめた第一歌集『青蝉』(1995、第40回現代歌人協会賞)、第二歌集『夜光』(2000、第9回ながみ現代短歌賞)、第三歌集『海雨...
著者はNHK短歌選者もなさってます。木下龍也さんは目標としている歌人として穂村弘さんとこちらの吉川宏志さんを挙げておられます。 18~25歳までの歌をまとめた第一歌集『青蝉』(1995、第40回現代歌人協会賞)、第二歌集『夜光』(2000、第9回ながみ現代短歌賞)、第三歌集『海雨』(2005、第11回寺山修司短歌賞、第7回山本健吉文学賞)を中心に初期の歌篇、歌論、エッセイ、解説がならぶ。 日常の一コマに光を当てた眼差しが優しい。特に家族を詠った歌に体温を感じる。お子さんとの戯れを父目線で詠う作品は素敵だなと思う。サラリーマン短歌も時々混じる。社会詠は鋭い批評がこめられ襟元を正す思いになる。文語調はお手本になる巧みさ。 「現代的な生活の背後にも、歴史や風土がひっそり息づいていることを、なまなまと感じることが多くなってきた。その感覚を少しでも歌のなかにあらわれていれば嬉しい」とあとがきで触れている。 身体感をもつ記号、省略からみえるもの、声を通してつたわるものなど、短歌の可能性についてまとめた歌論は勉強になる。「作者の思いが、自然にリズムを引き寄せて歌われるとき<肉声>のようなものが書かれた文字に宿るのであろう」 <特に好きなお手本にしたい歌> 這い寄りてわれの眼鏡に手をのばすこの子もやがて眼鏡をかけむ 卓上の本を夜更けに読みはじめ妻の挟みし栞を越えつ 本棚の三段目まで届く子が投げ散らかせり夕餉のまえを 肩車した子を影で確かめて馬酔木の咲ける坂を降りゆく 抱いていた子どもを置けば足が生え落葉の道を駆けてゆくなり 謝りに行けば上司は来ておらずコクヨの机が朝の陽に照る ワープロの筆文字で打つ詫び状にわが名はあらず会社名のみ アメリカが生贄をゆびさすまでのひどくしずかな秋が過ぎてゆく 考える間もなく終わる戦争よ考える間に人は死ねども 「冬」の字の二つの点をゆったりとつなげて手紙書きはじめおり カレンダーの隅24/31 分母の日に逢う約束がある 今日放送のNHK短歌で入選九首に選ばれてびっくりしております!吉川宏志先生、ありがとうございます!先月末に番組制作会社からお知らせメールが来てやりとりしました。壮大などっきりかもしれないとずっとドキドキしていました。自分のペンネームを尾崎世界観さんに読んでもらうのは嬉しくも照れてしまう不思議な感覚でした。 <チョコを切り刻んで鍋に重ねたら底がじわりと消える日曜>
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一番有名な歌はたぶん ○花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった ですね。 吉川宏志さんは1969年生まれで、穂村弘さんや俵万智さんよりお若いのですね。 でも、歌の雰囲気が、すごく昭和初期の感じがしました。 戦争の歌、多いですね(主にイラン・イラク戦争)。 ...
一番有名な歌はたぶん ○花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった ですね。 吉川宏志さんは1969年生まれで、穂村弘さんや俵万智さんよりお若いのですね。 でも、歌の雰囲気が、すごく昭和初期の感じがしました。 戦争の歌、多いですね(主にイラン・イラク戦争)。 あとは家族の歴史。 二つ年上の奥様とご結婚され、お子さんが生まれ、おばあ様が亡くなられ、奥様の入院と続いていきます。 以下に特に好きだと思った歌を載せます。 ○枝道の朝じめりする嵯峨野かな人を待つとは待たせないこと ○いそっぷのきつねのようにおさなごはスープ飲みおり春の雪ふる ○淡雪はくっつきながら落ちてくる 思い出せない顔美しき ○あさがおが朝を選んで咲くほどの出会いと思う肩並べつつ ○同じ風浴びているのに君ばかり目を閉じていた 合歓木のもと ○昼の雨間隔おおきく降りはじむ下絵のような鉄線の花 歌論より抜粋 P155より 短歌の場合、作者の実生活がよく素材になるため、混同が起き易いのだが、作者が実際に体験したからと言って作品のリアルなものになるとは限らないのである。(中略)「リアリティ」とは、安全で綺麗なだけの表現からは生まれてこない。
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