商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 戎光祥出版 |
発売年月日 | 2018/03/03 |
JAN | 9784864032810 |
- 書籍
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雪割草
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雪割草
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横溝正史といえば、殺人事件である。 菊人形の上に生首だったり、湖に脚が突き出ていたり、振袖の娘の口にろうとが突っ込まれていたり、びっくりな状況で人が殺されているのだ。 これはいったいどういうこと? 戸惑い、怯える皆――警察、読者を前にして、名探偵が、 「あなたが犯人です」 とこ...
横溝正史といえば、殺人事件である。 菊人形の上に生首だったり、湖に脚が突き出ていたり、振袖の娘の口にろうとが突っ込まれていたり、びっくりな状況で人が殺されているのだ。 これはいったいどういうこと? 戸惑い、怯える皆――警察、読者を前にして、名探偵が、 「あなたが犯人です」 ところがこの『雪割草』である。 殺人なし、犯人なし、よって探偵なし。 横溝正史なのに! 2017年に発見された、横溝正史の小説である。 1941年6月から12月まで、新潟の新聞に連載されていた。 1941年と聞いて、ピンときた方も多いだろう。 開戦の年である。 統制が厳しく、書けないことが多かった。 エロはだめ、グロもだめ、殺人事件だなんてもってのほかである。 よって、横溝正史は「家族小説」を書く。 主人公は有爲子。 幸せなのはほんの冒頭だけで、あとは不幸に継ぐ不幸なのだ。 別離、病気、貧困、いびり、・・・・・・ なぜにこんなに次から次へと疑問に思うほど起こるのだが、それを、自身の力や、周囲の助けでもって乗り越えていくのである。 「家族小説というのが、よくわかりませんが、それは朝ドラか、昼メロではないですか?」 そう。つまりそれである。 横溝正史の書く、朝か昼のドラマなのだ。 面白いではないか。 「いや、でも横溝正史でしょう? 首だけだったり、首がなかったりする死体がないと・・・・・・」 そこは申し訳ない。 死体はない。殺人もない。 しかし、こういう人物は出てくる。 お釜帽、蓬髪、釣鐘マント、よれよれの袴、加えていくらか吃音・・・・・・ 「き、金田一さん?」 そう。名探偵金田一耕助の姿形をした人物は出てくるのだ。 原型といおうか。 彼が犯人を指摘したり、事件の経緯を説明してくれたりはまったくないのだが、彼が出てくるのはファンとしてはちょっと嬉しいのだ。 ミステリを読み続けていると疲れることがある。 読んでいる間に、頭の中に死体が積み上がっていくせいか、さすがに殺人事件がしんどくなることがある。 それがないのはいい。 そして、書かれた時期が時期だけに、戦地のひどさも描かれない。 戦火のむごさも書かれない。 といって、戦争礼賛も書かれない。 書きたくても書けないことがたくさんあったんだろうなあと、先生を慮りつつ、横溝正史の筆に酔いしれる読者である。 巻末に次女による横溝正史のエピソードが書かれている。 探偵小説一代男の家での様子が窺えて、興味深い。 そしてこの『雪割草』発見の経緯がある。 これまた読みどころである。
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横溝正史にこんな作品があったとは。探偵小説ではないが、戦時下で力強く生き抜く女性を描いた佳作。読み始めると、次々と気になる展開で、どんどん読める。
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横溝正史の本は推理小説しか読んだ事がなかったので、最後まで読めるかどうか不安だったが、主人公が波乱万丈の人生を送っているのでどんどん読めた。最後がハッピーエンドで良かった。持ち歩くのが重かった。
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