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中国が愛を知ったころ 張愛玲短篇選
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2017/10/27 |
JAN | 9784000238922 |
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中国が愛を知ったころ 張愛玲短篇選
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商品レビュー
2.7
5件のお客様レビュー
1956年執筆された中国の張愛玲の短編小説を7年前に翻訳されたものらしいが、もう少し上手に翻訳してもらえば、リズム感のある面白い小説になったのではと思う。
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マルケスの「コレラの時代の愛」は、マルケスによるフェミニズムへの愛と棘をたっぷり含んだ返答だと思っているのだが(相当誤解されているみたいね)、これを女性が書いていたらどうだろう。 そして本書の表題作「中国が愛を知ったころ」を読みながら私は色んな意味で「コレラの〜」に随分似ているな...
マルケスの「コレラの時代の愛」は、マルケスによるフェミニズムへの愛と棘をたっぷり含んだ返答だと思っているのだが(相当誤解されているみたいね)、これを女性が書いていたらどうだろう。 そして本書の表題作「中国が愛を知ったころ」を読みながら私は色んな意味で「コレラの〜」に随分似ているな、と思ったのだ。 例えばこんな風にも思う。もし「中国が〜」を男性作家が書いていたら、どのような反応を受けるだろうか、と。この苦いラストも、何だ、男の都合の良い幻想ではないか、と誤読するのではないか。女性が書いているからこそ、男性に都合の良い社会慣習の矛盾の中に甘んじるしかない女性、そして男性、という視点が難なく固定できるのだが。 テクストの読み取りにも得てしてこうした二重の角度・基準があるものなのだが、そこは二重で良いのかどうか。そんなものは本来、上質であればある程、無い筈だ。 本作も恐ろしいまでの硬度を持っている。だからそういう風に裏返して見ることは、読み手たる自分を試すものだと言える。そこで中心点がブレてくると、読みの純度が低いという事だろう。 どちらも、常識はずれな試行錯誤の末、ある矛盾した地点に浮遊することによって、社会慣習と個人主義との矛盾を何とか無化させる、というユートピア的なオチを選んでいる。ここが、この2作の似ている点なのだが。 甘さと苦さの違いはあるにせよ。そしてその矛盾点でキープすることが、お伽噺ではない、開かれた問いを与えてくれるものなのだ。 短いながらも本作の硬度は物凄くて、何度も、いつまでも読み続けられるような深みがある。 兎に角、角度を替え、矯めつ眇めつ眺めたい。多面的で、いろんな意味を読み取れて、非常に難しい。 例えば冒頭のボートに2組が座る箇所の描写。 「二人の男はそれぞれ自分の女友達の隣に腰かけていた。そうすると重量が釣りあうからというだけの理由である。」これだけでも相当な含意があり、またそれはラストの相当バランスの崩れた関係との対比になっている。素敵なメロドラマなのかと思いきや、もっと深くリアルで皮肉な話となり、そこで殆ど語られることのない元妻という存在のシルエットが、何の描写もなく影絵のように浮かび上がってくる。 私はアニエス・ヴァルダ「幸福」も連想した。(あ、ちょっとヴォルテールの「カンディード」みたいでもあるよね。ミス笵とキュネゴンド姫。と思うと「カンディード」を男女の話として読む視点が出来る。) 時代も作風も全く違う収録作3篇どれも最高。モダンで、意識的で、時代も場所も越えた力を持っていて、世界文学を読んでいるという充実感がたっぷり。 敢えてこんな風に統一感の無いセレクトにした所が見識なのだろう。その背後に、まだ見ぬ幾多の作品とともに1人の作家の姿がくっきりと見える、息遣いが聞こえる。もっと読みたくなるではないか。
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