商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 作品社 |
発売年月日 | 2017/10/01 |
JAN | 9784861826573 |
- 書籍
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東京時間旅行
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
面白いなあと思う著者は数人いるが、鹿島茂もそのうちの1人。 著者は、フランス文学者であると同時に数多くの本を出している。 今回の本は、主に東京だが、街の歴史や文化を知ることができる。 最初に登場した街はやはり神保町。 神保町というと、今ではカレー...
面白いなあと思う著者は数人いるが、鹿島茂もそのうちの1人。 著者は、フランス文学者であると同時に数多くの本を出している。 今回の本は、主に東京だが、街の歴史や文化を知ることができる。 最初に登場した街はやはり神保町。 神保町というと、今ではカレーやラーメンで有名になっているが、古本が神保町の中心というのは令和になっても変わらない。 学生時代によく神保町の書店に行き、フランスの新刊書を見たことや、神保町にある大学に勤務していたときに、神保町のマンションに引っ越したことなどが書かれている。 渋沢栄一と言えば、近代日本の資本主義にとってなくてはならない人物で、新紙幣の顔にもなる。 そんな渋沢が丸の内を巡って三菱と火花を散らしていたとは知らなかった。 今では考えられないが明治初期の丸の内は、大名屋敷が立ち並んでいたが、諸大名は地元に引き揚げたので、ゴーストタウンとなっていた。 そして、大名屋敷跡に兵部省(陸軍省)などの官庁が移転した。 1888年に、陸軍省が丸の内から麻布・赤坂に移転することになった。 資金を捻出するために、丸の内陸軍用地の民間払い下げ計画を出した。 入札を実施したが松方デフレという不況で、さっぱりだった。 そこで三菱の岩崎弥太郎に明治政府は一括払い下げを打診。 渋沢を中心とした大倉、三井などが組んで分割落札なら名乗り出ようとした。 そこで、岩崎と渋沢が話し合って双方の条件を出していたが、払い下げ直前になり岩崎は単独払い下げ、単独開発に乗り出す。 この決断の裏には情報があった。 当時ロンドンに出張中だった三菱の大番頭・荘田平五郎と末延道成から届いた電報が決め手になった。 ロンドンの金融の中心、ロンバート街を歩いていたとき、日本にもこのようなビジネス街を作りたいと語り合っていて、丸の内の払い下げの件を知ると、払い下げは単独で行うべしと打電した。 今では三菱地所は「丸の内の大家」として知られる。 電報がなければ渋沢や三井、大倉も丸の内開発で一枚噛んでいてかもしれない。 それにしても渋沢栄一はいろいろなところに顔を出すなあ。 博覧会、博物館はなぜ上野へを読んでいくと気になる文字が目に入った。 それは「美人島探検館」だ。嫌いな人はおよそいないはずの美人。 1914年の大正博覧会では、エスカレーター、ロープウェイなどの目新しい乗り物が人気だった。 「美人島探検館」はパビリオンで、大きな関心を集めたそうだ。 「美人島の方は素敵な景気で、午後二時の開場前後の混雑言ったら、全然喧嘩のような騒ぎだ。押され押されて這入って行くと、出雲美人、蛇体美人、無体美人など言う各種の美人が檻の奥深くに見える」 当時の新聞はこのようなレポートを載せていた。 いつの時代も美人はモテるなあ。 来年の大阪万博ではまず実施できない催し物だ。 鼻の下を伸ばしてデレデレしている男どもの姿が浮かんできそうだ。 この他にも東京の知られざる姿を知ることができて面白いなあ。
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本書は、東京の街について筆者が「足で歩いてドキュメントで裏を取るという姿勢」で取材し、書いたエッセイを集めたもの。2017年の発行であるが、書かれているものの年代は幅広く、1990年代からのものも含まれている。 取り上げられているのは、神田神保町、新宿、神楽坂、丸の内、銀座といっ...
本書は、東京の街について筆者が「足で歩いてドキュメントで裏を取るという姿勢」で取材し、書いたエッセイを集めたもの。2017年の発行であるが、書かれているものの年代は幅広く、1990年代からのものも含まれている。 取り上げられているのは、神田神保町、新宿、神楽坂、丸の内、銀座といった「街」から、「三越」「丸善」「国立国会図書館」といった、特定の「場所」、あるいは、「カフェ」や「ラーメン」といった、「テーマ」に沿ったものまで幅広い。 どのエッセイも、雑誌に掲載されたものであり、各エッセイの最後に、掲載された雑誌名と掲載年が書かれている。 「はじめに-東京五輪大作戦」というエッセイの掲載雑誌・掲載年が、「Sports Graphic Number PLUS 2000年5月」となっているのを読んだときは、「おやっ?」と思った。鹿島茂が、Numberに何かを書くのがイメージ出来なかったからだ。少し調べてみた。 当該誌の副題は、「ニッポンの挑戦 "百年戦記"。」となっており、表紙はサッカーの中田英寿が飾っている。2000年はミレニアム紀であり、過去100年の(20世紀の)日本のスポーツ界の、世界を舞台にした挑戦・チャレンジを1冊の特集にしたものであり、その編集意図はよく分かる。また、中田は1998年のフランスW杯で注目された後、イタリア・セリエAのベルージャに移籍、ブンデスリーガで活躍した奥寺以来となる海外の強豪リーグで活躍する日本人選手であり、表紙に写真が掲載されている意図が、これもよく分かる。 実際の記事に取り上げられているスポーツ選手は、中田・野茂・有森・清水(スケート)といった世界で活躍した選手。また、「マラソン」「水泳」「男子体操」「バレーボール」といった世界で活躍したことがある種目。 それらと並んで、鹿島茂の「1964年東京五輪大作戦」が掲載されている。副題は、「帝都改造計画」。 20世紀のスポーツ界にとって(というよりも、日本という国にとって)、東京でオリンピックを開催したことは、誇るべきことであり、実際に大きなチャレンジであり、「戦い」であったという文脈での記事だろう。少し無理がある気がするが、分からなくもない。 この記事は、とても面白い。「足で歩いてドキュメントで裏を取る」、すなわち、現地を訪問し、かつ、きちんと資料・記録も確認する、という学者らしい作られ方をしているので、読んでいても安心感を感じる。 その他の一つ一つの記事も、手間をかけて書かれており、読み応えがある。
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面白かった。すごく参考になった。町歩きをしていると、東京がつまらない街になったのは、あの前回の東京オリンピックのせいだという意見が多く、私もおおいに賛同する想いがあるので、冒頭いきなり引き込まれた。あのオリンピックは、東京を変えるために行なったのだ。「オリンピックの招致は、東京を...
面白かった。すごく参考になった。町歩きをしていると、東京がつまらない街になったのは、あの前回の東京オリンピックのせいだという意見が多く、私もおおいに賛同する想いがあるので、冒頭いきなり引き込まれた。あのオリンピックは、東京を変えるために行なったのだ。「オリンピックの招致は、東京を全面的に改造するための口実であった。」とはそれも山田なにがしのプランに基づくものだとは、来年に生き延びさせた2020オリンピックに対してもなんだか恐ろしさを感じる。 三越とか、丸善とかを語る時は、社史をきちんと読み込んで、時代を浮き上がらせて広い世界を感じさせる。上野の見方も、詳しい博覧会から語られ、上野を見る目が違って来た。「喫茶店」「カヘェ」の話も楽しく、目からウロコだ。
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