商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本評論社 |
発売年月日 | 2017/09/01 |
JAN | 9784535984608 |
- 書籍
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精神病理学の基本問題
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精神病理学の基本問題
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最近は、大学病院にかかる場合は、紹介状を持ってこないと高い別料金がかかる制度になっていることもあって、たいていの場合、主治医に紹介状を書いてもらって持ってくる。 セカンドオピニオンを求める患者に対し 標準治療が行われている場合 「この紹介状を読んだ限り、今までの主治医の先生は普...
最近は、大学病院にかかる場合は、紹介状を持ってこないと高い別料金がかかる制度になっていることもあって、たいていの場合、主治医に紹介状を書いてもらって持ってくる。 セカンドオピニオンを求める患者に対し 標準治療が行われている場合 「この紹介状を読んだ限り、今までの主治医の先生は普通の診断と治療をしていますので、私にこの先生と別の見方をすることはできません」と言って断るしかない。 主な疾患にはすべて、その疾患を専門に研究している研究者たちが決めた治療のガイドライン(指針)があり、そのアルゴリズムに従って診療されている限り、どの医者が診ても同じことのはずである。 エビデンスに基づいた科学的・合理的な医療に「意見」など入る余地はないはずだ。 セカンドオピニオンには 「別の見方をしてくれる医者はいないか」、そういう期待を胸に秘めて受診するのである。 それなのに、そこで前の医者と同じことを言われたなら、患者は絶望の淵に叩き落とされてしまう。 つまり、進行がんのような死に直結する病気の場合は、医療が科学的・合理的で異論の余地がない、つまり逃げ場がないということ自体が、患者を不幸にするのである。 大規模な長期予後調査では 統合失調症と診断された患者たちの予後は必ずしも悪くないことがわかってきた。 現在の教科書的記述では、「三分の一は長期入院を余儀なくされるが、三分の一は社会復帰し、残りの三分の一は中間的な社会適応である」とされている。 医者が精神医療を、事実に反して完全に科学的・合理的な技術体系であると信じこんでしまうと、ガイドラインに沿った標準的治療によって患者がよくならなかった場合にフラストレーションを感じて、治療の失敗を患者の性格や態度のせいにする結果を招く。 これは、実際は胡散臭くあまり当てにならない精神医学を、完全に合理的で信頼できる技術体系であると誤って信じたことから帰結する不合理である。 その本質は、都合の悪い事実を嫌悪し、みなかったことにする宗教的信仰と変わらない。 科学や合理性に対する信仰ではなく、人間の非合理的な部分を含めた全体を受け入れることのできる度量の広さと謙虚さこそが必要なのである。
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