天草四郎の犯罪 十津川警部シリーズ 新潮文庫

西村京太郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2017/08/28
• JAN: 9784101285344

商品レビュー

2018/05/30

○現代に生きる天草四郎の果たしたいこととは。不思議な傷害事件

天草（てんぐさ）四郎という男が、ホテルのジュエリー強盗を捕まえたりするなど、次々と強盗らを杖一本で倒すという事案が発生し、十津川や亀井は興味を持つ。
天草は、小池自動車の社長が襲われた場面に立ち会ったことがきっかけで弁護士の三枝の警護につく。三枝の別荘で襲われた天草は昏睡状態に陥り、大量の応援募金が集まるが、それに反抗しようとする勢力も現れ…

そもそも、「あまくさ」と読ませるところを「てんぐさ」と読ませて不可思議感を与えたところに読者はひっかからなければならなかった。あまくさ四郎とは関係ないと言っておいて実は関係ある、だから協賛してくれ、というのは何とも巧妙な手法である。
しかし、天草四郎が本当に詐欺を働いていないのか、十津川は念入りに調べる。天草という土地の歴史や天草四郎の本当の出自など、西村作品にありがちな推理手法ではあるがこれはこれで手堅い。
そうして手に入れる真実は果たして過去に生きた天草四郎と今に生きる天草四郎をどう結び付けるだろうか。

2017/11/09

巨匠であるにも関わらず、初めての西村京太郎氏の作品。
少年時代の3年間、熊本県天草へのゲート三角町に住んだことがあり、懐かしくて思わず手を取った。句読点が多くて読み易く、ゆったりと流れる独特の世界観に惹かれた。