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タイガー・ボーイ
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タイガー・ボーイ
¥1,650
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商品レビュー
4.4
5件のお客様レビュー
少年がトラを探すことで成長していくきっかけになる.家族が支え合う様子,友情,校長先生の思いなどたっぷり詰まった物語.
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表紙のイラストで主人公の少年ニールがお面を頭の後ろ向きにつけている姿を見て、はじめは民俗芸能のものだと思った。でも実は、トラの保護区に入った際に、背後から襲う習性のあるトラに対して、後ろからも常に見ていると思わせて身を守るためのものだった。 お面を後ろ向きにつけているニールの姿が...
表紙のイラストで主人公の少年ニールがお面を頭の後ろ向きにつけている姿を見て、はじめは民俗芸能のものだと思った。でも実は、トラの保護区に入った際に、背後から襲う習性のあるトラに対して、後ろからも常に見ていると思わせて身を守るためのものだった。 お面を後ろ向きにつけているニールの姿が、ある意味象徴している。 ―物事には何でも二面性がある。そして普段はその一面しか見ていないことが多い。あたかも月の裏を見ていないのと同じように― この本は、小学5年生(インドの小学校では最上級生)のニールが、寡黙な肉体労働者だが嘘を嫌いニールも人間として尊敬する父、大病が癒えたばかりの母、利発で物おじしない性格だがインドの地方の因習で進学せず家事をしている姉、そしてニールといっしょに池で泳いだり遊ぶのが勉強より好きな友だちと過ごすという、インドの一地方ではありふれた日常が舞台。 その日常が、水路の向こうにある保護区から子どものトラ1頭がフェンスの破れ目を抜けてニールたちが住む島へ渡ってきたことで破られた。 ニールは家族と友だちとの日常を大切に思うあまり、奨学金を得て都会で寄宿生活を送るという誰もがうらやむ進学への道に否定的になっていたが、それまで姿かたちを変えることがなかった日常が突如姿を変えた。そのうちにニールは、日常の裏側の姿が意識から消えなくなり、自分との関わりについて否が応でも考えざるを得なくなる。 つまり、日常はすなわち最良だと思っていたニールに、脱日常こそ最良ではないかという選択肢が次々と突きつけられる。でも答えは簡単には出ない。また大人が答えを教えてくれるかもしれないが、大人の答えが果たして正しいのかニールにはわからなくなる。 この本では子どもトラの隠れ場所を探す過程のサスペンス要素も交じり、ニールが自分で答えを探し出すために奮闘する姿が、大げささを抑えた繊細な文章でつづられる。 全体的に見れば、少年期に誰もがぶつかる数々の矛盾、勉強することの意味、大人社会への不信、不正と戦うか妥協するかetc.といった複数のテーマがコンパクトにまとめられている。読者対象はニールと同じ年齢にあたる小学校高学年からと考えていい。 それとネットで見てわかったけど、著者のM.パーキンスも作画のJ.ホーガンも女性であり、意外だった。H.ヘッセの「車輪の下」のように自己の少年期の体験を反映していると思っていたから。 だけどニールの姉を、因習に囚われながらそれを打ち破る可能性を含む女性として描いているのをよく読めば、調べるまでもなくこれは女性作家の作品だとわかったかもしれない。
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インド半島の東側の付け根から、バングラデシュ南部の中ほどにかけて、世界遺産に登録された「シュンドルボン国際公園」。ここを舞台に小学5年生のニールの成長を描いた物語。 ニールは言語は得意だけど算数は苦手。でも、その学力から、校長先生をはじめ、周りの人から期待されています。 奨学金...
インド半島の東側の付け根から、バングラデシュ南部の中ほどにかけて、世界遺産に登録された「シュンドルボン国際公園」。ここを舞台に小学5年生のニールの成長を描いた物語。 ニールは言語は得意だけど算数は苦手。でも、その学力から、校長先生をはじめ、周りの人から期待されています。 奨学金を勝ち取り、中学へ進学するため、貧しい中、家庭教師を雇いますが、ニール本人がやる気がない様子。 家族とこの土地で暮らしたいという強い思いからでした。 そんなある日、保護区からトラの赤ちゃんがニールの住む地区へ逃げたとのニュースが。最近、島で悪い商売をしているグプタはトラを捕まえて売り出そうと目論んでおり、ニールはグプタより早くトラの子を見つけようと考えます。 しかし、グプタの懸賞金に魅力を感じて手伝う大人の中に大好きなお父さんも加わってしまいます。ニールの家庭教師代とお母さんの薬代を稼ぐため仕方ない選択でした。 ニールは姉さんと協力して、苦手だった数学を使い、トラの子を見つける作戦を練ります。 短い物語の中に、少年の心深い部分の成長が盛り込まれていて、読み終えた後、満足感があった。 後半、ニールが言った「人生にはお金より大切なものがある」という言葉が印象的。ニールは体験を通して心からそう感じて変わることが出来たのだと思う。 物語の背景にはシュンドルボンの生活の苦難もさりげなく描かれており、遠い世界を考えるきっかけになった。 リキシャガールも読んでみたい
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