商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2016/11/01 |
JAN | 9784622085546 |
- 書籍
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テクノロジーは貧困を救わない
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テクノロジーは貧困を救わない
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商品レビュー
4.3
11件のお客様レビュー
Microsoftで働いて、その後インドのms研究所を立ち上げ多くのプロジェクトを行った著者による開発経済学寄りのエピソードを交えた学書。 翻訳ではないのでスラスラと読めた。 テクノロジーやシステムを与えただけでは問題の根本が解決しない難しさを具体のエピソードを基に記述しているの...
Microsoftで働いて、その後インドのms研究所を立ち上げ多くのプロジェクトを行った著者による開発経済学寄りのエピソードを交えた学書。 翻訳ではないのでスラスラと読めた。 テクノロジーやシステムを与えただけでは問題の根本が解決しない難しさを具体のエピソードを基に記述しているので説得力があって分かりやすい。 ITに限らず常に頭の片隅に置いておくべきもの。 70/100
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結構分厚い。しかし末尾の1/4は参考文献と脚注で占められている。原著を書いたのが日本人なせいか、翻訳モノの割には読みやすかった。 社会的課題に対してインターネットやテクノロジーを、つまりパッケージを導入すればうまくいく、という幻想に私たちは囚われがちだ。しかしテクノロジーの導入...
結構分厚い。しかし末尾の1/4は参考文献と脚注で占められている。原著を書いたのが日本人なせいか、翻訳モノの割には読みやすかった。 社会的課題に対してインターネットやテクノロジーを、つまりパッケージを導入すればうまくいく、という幻想に私たちは囚われがちだ。しかしテクノロジーの導入に限らず、あらゆる課題に対するパッケージの導入は、それに関わる人間の性質を増幅するものであって、解決策になるとは限らない。それが良い方向に増幅するとは限らない。選挙制度というパッケージを導入しさえすれば、その国は民主化するだろうか?答えはNoだ。貧困の現場にPCを持ち込んでも、ゲームやエロ動画ばかり、という事態になりかねない。パッケージを開発する者、運営する者、利用する者の三者が、向上心を持って知力、理性、自制心を働かせなければならない。その時に初めてパッケージが課題解決の役に立つ。 前半部分ではそんな、言われてみれば当たり前デスネー、ということが、農業や教育現場の事例を挙げて語られている。説得力はある。雑に言うと「結局、人なんですよ」ということを書いている訳で、結論としてはおもしろくない。やっぱ、魔法の杖が欲しいじゃん。 後半部分では、ではそういう人はどうしたら増えるのか?生まれるのか?ということが社会や教育の観点、特に教育の観点から語られている。しかしここで書かれている通り、それには時間がかかる。マズローのなんちゃらを持ち出して理想として描かれる、内面的成長を遂げた利他的人間像は、ハードルが高すぎる。神じゃあるまいし。そういえばみうらじゅん氏が、やることやりきった人間に残されたやることは親孝行だけだ!と言ってたのを思い出した。それに近いニュアンスを感じる。やりきってエゴを満たした先の話だ。そこまでたどり着ける人間がどれだけいることか。 語られていない部分で気になったのは、歳と個人差の問題。手間と時間をかけた良質な教育があれば、殆どの人がそこに到達できるとでも言いたげな印象を受けた。無理じゃね?著者は高い理想を持った、内面的成長を遂げた立派な人なのであろう。しかし世の中には、生まれながらのしょうもない人間も多い。歳とった人間は頑固で修正は難しい。そんな意識高い連中ばかりの世の中は疲れる。幸か不幸か、多様性ってそういうことだと思う。もちろん、この努力を否定してはいかんのですが。
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テクノロジーは貧困層の生活を豊かにする万能策なのだろうか? これがこの本の大きな問いである。そして著者はこの問いに対して「No」と言い、結局のところ、テクノロジーを利用する人そのものをアップグレードすることが必要であると主張している。 この本の大きな意義は、テクノロジーの役割を再定義したことにある。著者は「増幅の法則」という理論を提唱しており、テクノロジーの本来の役割は「人の能力や意志を増幅することにある」としている。 この本から得られた「増幅の法則」という着想は、家父長社会におけるICTの役割や意味を研究する自身にとって非常に有益なものであった。男性が支配的なバングラデシュ社会において、もはや女性は男性に従属的な存在であるだけでなく、その不平等な社会に何とか抵抗しようと戦略的に生きている。このようなバングラデシュ社会に今、モバイルフォンを活用したICTサービスが普及しつつある。家父長社会に生きる女性の戦略的行為に対して ICTがいかなる役割を果たすのか。この問いに答えるための重要な視点をこの本が与えてくれた。 (名古屋大学大学院国際開発研究科 博士課程 綿貫竜史)
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