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夢みる教養 文系女性のための知的生き方史 河出ブックス
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2016/09/01 |
JAN | 9784309624976 |
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夢みる教養
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夢みる教養
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本書は、主な読者の対象として女性を意識した文学作品群を質的に取り上げている。その中から「教養」の概念を抽出することに成功した。明瞭だったのは主に男性が親しんだ「教養主義」とは全くことなる、やや範囲が絞られた「教育」の意味に近い「教養」である。―感覚的には、educatationを...
本書は、主な読者の対象として女性を意識した文学作品群を質的に取り上げている。その中から「教養」の概念を抽出することに成功した。明瞭だったのは主に男性が親しんだ「教養主義」とは全くことなる、やや範囲が絞られた「教育」の意味に近い「教養」である。―感覚的には、educatationを教育の結果としての教養の意味で使う文脈に近いのかもしれない。―さらにそれは時代感覚と結びついていた。このごく当たり前のことが個人的には示唆的だった。
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タイトルがすべてを語っている感もある1冊。 近代以降、多くの女性が「教養」を身につけようと生真面目に努力してきた。彼女たちは何のために、何を知ろうとし、結果、何を得たのか? すなわち、「教養」という夢の正体と、その末路を検証する。 おそらく、タイトルで多くの読者が想像するよりも...
タイトルがすべてを語っている感もある1冊。 近代以降、多くの女性が「教養」を身につけようと生真面目に努力してきた。彼女たちは何のために、何を知ろうとし、結果、何を得たのか? すなわち、「教養」という夢の正体と、その末路を検証する。 おそらく、タイトルで多くの読者が想像するよりもかっちりした論調で、かつシビアである。やや乱暴にまとめてしまえば、近代以降の女性の「教養」の行く先は袋小路であったし、彼女らの努力は生真面目であればあるだけ、抑圧的な構造の中で「浪費」されてしまったに近い、ということになりそうだ。 近代以降、生活にゆとりが出来た層を中心に、女性たちは、文芸、お茶やお花、芸術、英語といったさまざまな教養を身につけようと努力してきた。彼女たちの向上心は純粋なものではあったけれども、そもそもが「女性性」の枠組みの中に閉じ込められ、そこを突き破る力を持たせるものではなかった。 何者かになりたいという明らかなまたは密かな願いは、構造的に「教養」を通じて叶うものではなかったのである。 一例として著者が挙げているのは、雑誌「少女の友」(『『少女の友』とその時代―編集者の勇気 内山基』)のお姉さん格である雑誌「新女苑」およびその投稿欄である。ここでは多くの女性が小品や小説を投稿していた。懇切丁寧にこの投稿に目を通し、選評していたのは川端康成である。川端の熱心さにも関わらず、実のところ、ここからは職業的作家は育たなかった。川端が悪かったというわけではない。時代が女性に要求していたのは、プロとなることではなく、純真で素朴、つまりある意味「下手」であることだったのだ。助言にしたがってどんなに努力しても、それはどこへも行けない袋小路という構造が出来上がっていたわけである。 全般に、著者の論調は、妥当なのかもしれないが非常にシビアである。反発を覚える以前に面喰らうほどの手厳しさだ。著者も女性であることを思うと、厳しすぎるようにも感じるが、読み終えるとむしろ逆に、女性でなければ書けない問題点だったのかもしれないと思えてくる。 著者は近代以降の「教養」に厳しい目を向けているが、「教養」を身につけようとした女性たちを断じているわけではない。過去が袋小路だったからといって、将来もそうと決めつけているわけでもない。 では今後、女性たちの「向上心」はどこへ向かえばよいのか、本書から直接の展望は見えてこないのだが、それは1人1人に委ねられているというところだろうか。 女性の教養という切り口は、「職業につながらねばならないのか?」「昔の『旦那』の道楽との違いはどこなのか?」「在野であることに意義はないのか?」とさまざまに広がりうる種を持つように思う。 過去の教訓を踏まえて、未来の可能性がどこへ向かうのか、楽しみにしていてもよいような気もしている。
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