クマゼミから温暖化を考える 岩波ジュニア新書

沼田英治(著者)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 2016/06/01
• JAN: 9784005008339

商品レビュー

2022/08/04

クマゼミから温暖化を考える。沼田　英治先生の著書。地球温暖化問題や環境問題を考えるのは簡単ではないから地球温暖化問題や環境問題は自分とは関係のない話として終わらせてしまいがち。でも地球温暖化問題や環境問題に正面から向き合わないと人類の未来はない。自分にとって身近なクマゼミからなら地球温暖化問題や環境問題を考えることならできる人は多いはず。地球温暖化問題や環境問題を考えるきっかけをだれにでもわかりやすく与えてくれている沼田　英治先生を尊敬。

2019/01/20

専門家が書いた夏休み自由研究。子供むけ新書だけにわかりやすく書かれている。日常の疑問をいかに掘り下げて考え、観察し、資料を探し、自分なりに分析するか、というところ。

2017/08/03

子供の頃、クマゼミは蝉の王様だと思っていた。アブラゼミは、名前からしても姿からしても貧乏くさいし、ミンミンゼミはさらにその子分だと思っていた。クマゼミは姿が美しくて、第一滅多に見つかることがないから、たまたま採ったときには興奮して、友達に見せびらかしたものだ。それが1970年ぐらいまでの、岡山県倉敷市の片田舎の雑木林の出来事であった。

2009年福井に小旅行したときに、お寺の参道でクマゼミの弱った個体を見つけたときに、写真にとってわざわざブログにアップしている。私はその時までに、クマゼミが北陸の町に生息しているとなど想像もしていなかったことが影響している。クマゼミは熊本発祥の暖かい地での昆虫だと根拠なくずっと思ってきたようだ（実際は昔から福井がクマゼミの北限だったらしい）。しかし、その時からふと倉敷市の周りを見ると、夏になればクマゼミしか飛んでいないのに気がついた（大阪の街中も現在はクマゼミが圧倒しているらしい）。朝になれば、いつの間にかジージーという声は聞かれず、シャンシャンシャンシャンという「やかましい声」しか聞こえなくなっていた。ミンミンゼミの声さえいなくなっていた（ツクツクボウシだけは、夏の終わりに未だによく聞こえる）。

これが、温暖化ということか。

私はそう思っていたが、その因果関係の科学的根拠はわからないから、クマゼミの「侵略」に何か不安を覚えるだけだった。それを解消しようと思い、たまたま見つけたこの書名に飛びついた。

結果、温暖化は半分当たり、半分当たっていなかった。地球温暖化と都市化、二つの要因がクマゼミの増加に貢献していたのである（詳しくは本書参照のこと）。

科学的根拠を持つことは、どういうことか。モノの考え方の一つのお手本がここにあると思う。

2017年7月30日読了