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フランス幻想小説傑作集 白水Uブックス71
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 1985/09/20 |
JAN | 9784560070710 |
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フランス幻想小説傑作集
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商品レビュー
3.7
8件のお客様レビュー
「シャンパヴェール悖徳物語」の「狼狂シャンパヴェール」 が収録されているので一緒に消化。古典ホラーからSF、 実験小説を思わせるような作品まで様々。思うに、全体を 通してひとつの特徴だったりテーマだったりを持たせるの ではなく、ここからそれぞれの興味に従って読書歴を進めて 行くた...
「シャンパヴェール悖徳物語」の「狼狂シャンパヴェール」 が収録されているので一緒に消化。古典ホラーからSF、 実験小説を思わせるような作品まで様々。思うに、全体を 通してひとつの特徴だったりテーマだったりを持たせるの ではなく、ここからそれぞれの興味に従って読書歴を進めて 行くための道標のような短編集なのではないだろうか。
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『ミイラづくりの女たち』 マルセル・シュウォッブ 弟とリビアの砂漠を旅しているうちに、ミイラづくりを生業にしている女たちの住む町に迷い込んでしまい、弟さえもミイラにされてしまう怖ろしい物語。 シュウォッブは19世紀のフランスの作家。 彼の作品を読むのははじめてだったが、幻想的な...
『ミイラづくりの女たち』 マルセル・シュウォッブ 弟とリビアの砂漠を旅しているうちに、ミイラづくりを生業にしている女たちの住む町に迷い込んでしまい、弟さえもミイラにされてしまう怖ろしい物語。 シュウォッブは19世紀のフランスの作家。 彼の作品を読むのははじめてだったが、幻想的な怪しい雰囲気を存分に味わうことができた。 エジプトでのミイラづくりは有名で、たくさんのミイラが作られてきたが、この小説は短編にもかかわらず女たちの手でつくられるミイラづくりがやけに生々しく伝わってくる。 昔に読んだミカ・ワルタリの『ミイラ医師シヌへ』にもミイラをつくるさまが描写されていたが、 ミイラを作る場所は、ミイラ工場のごとき印象を受けたような気がするのは記憶違いだろうか。 女たちだけでミイラを作る という設定は、奇妙な妖艶さが加わり、死者を永劫と成すべく再生の手段として受容しつつも、やはり、ミイラづくりがおどおどろしい作業であることにはかわりない。 死体を相手に、手際よく臓物を掻き出してゆく女の腕。 麻布を処理を終えた死体に巻くために曲線を描く女の背中。 丸屋根の白い小さな家の中で行われている神聖な儀式のような工程の横で垣間見る、ミイラづくりの女と弟が交わす接吻の気配が小説に別の息を吹き込む。 マルセル・シュウォッブはユダヤ家系に生まれ、早熟で多くの言語を習得したという。 『二重の心』や『黄金仮面の王』などの短編集があるらしいが、この作品だけを読むとルルーやモーパッサン系の怪奇短編とジャンルが似ている。
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小さな本だが、18~20世紀のフランス幻想小説の流れをたどることのできる短篇集。 冒頭のサドの短編が「悪魔との取引」という古典的主題の枠内におさまっているのに対し、続くバルザックの「不老不死の妙薬」は、同じ主題に材をとりながらも、ここで描き出されるドン・ファン像は、人生への幻想を...
小さな本だが、18~20世紀のフランス幻想小説の流れをたどることのできる短篇集。 冒頭のサドの短編が「悪魔との取引」という古典的主題の枠内におさまっているのに対し、続くバルザックの「不老不死の妙薬」は、同じ主題に材をとりながらも、ここで描き出されるドン・ファン像は、人生への幻想を制御し、あらゆる価値を哄笑しつつ世界をむさぼる恐るべき巨人、ファウストの同類である。不老不死さえ手に入れながら、自身を聖人として奉る人々を嘲弄し、世界を巨大な喜劇にして見せる圧倒的な幕切れで、本書でもっとも鮮烈な印象を残す作品だ。 しかしこの後に続く小説たちの中からは、超人としての近代人像は姿を消して、眼に見えない存在への脅迫神経症めいた不安、厭世、人をとらえる狂気、未知の存在に対する恐怖などが主題となっていく。近代とは、自己の内部からやってくる不安と恐怖の時代であったのかもしれぬと思わされる。 その他印象に残る作品としては、海の上に浮かぶ蜃気楼のような町のイメージが鮮烈な「沖の娘」(シュペルヴィエル)、まるでカメラが舐めるように殺人の場面を描写する「秘密の部屋」(ロブ=グリエ)、怪物と化した夫と同一化する妻を、激しい緊迫と恍惚のうちに描いた「怪物」(ジュラール・クラン)など。
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