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愛加那と西郷 小学館文庫
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愛加那と西郷 小学館文庫

植松三十里(著者)

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愛加那と西郷 小学館文庫

693

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 2016/06/12
JAN 9784094062977

愛加那と西郷

¥693

商品レビュー

5

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2024/06/29

江戸時代、役人や身分のある流人が島妻を娶り、刑期を終えて本土に戻ることを許されても島妻は一緒について行くことができない。現代の感覚からすると理不尽なことだと憤りたくなるけれども、当時の奄美は薩摩藩に従属する立場であり、島の人々の地位が低かったことを初めて知る。 島妻の愛加那が西...

江戸時代、役人や身分のある流人が島妻を娶り、刑期を終えて本土に戻ることを許されても島妻は一緒について行くことができない。現代の感覚からすると理不尽なことだと憤りたくなるけれども、当時の奄美は薩摩藩に従属する立場であり、島の人々の地位が低かったことを初めて知る。 島妻の愛加那が西郷と暮らしていたのは3年にも満たない。二人は愛しあいながらもそれぞれが別々の思いを抱えているのが何ともせつない。西郷は国政を、愛加那は家族のことを。やがて帰還命令が下り別れの時が訪れる。 西郷が去った後の人生は愛加那にとって苦悩に満ちたものだったのだろうか。ユタという奄美の巫女が、本当の幸せとは自分がだれかの役に立つことだと彼女に語りかける。だとしたら、愛加那は数々の選択に納得した上で自分の人生を全うしたのではないか。同情的な目で見るのは彼女に対して失礼であろう。 敵に囲まれながらも歴史的偉業を成し遂げた西郷の精神的な拠り所だったのは、愛加那と流人時代を支えてくれた島の人々の存在であったと思いたい。

Posted by ブクログ

2018/06/10

NHKの大河ドラマ『せごどん』を見ている。安政の大獄で手配された人の中に勤王派の月照というお坊さんがいた。西郷は月照を薩摩に連れ帰るのだが、幕府を恐れる島津久光は二人に死罪を命じる。本来なら日向(宮崎)との界へ連れて行って殺されるところだが、それではというので、二人は錦江湾に船を...

NHKの大河ドラマ『せごどん』を見ている。安政の大獄で手配された人の中に勤王派の月照というお坊さんがいた。西郷は月照を薩摩に連れ帰るのだが、幕府を恐れる島津久光は二人に死罪を命じる。本来なら日向(宮崎)との界へ連れて行って殺されるところだが、それではというので、二人は錦江湾に船を出し、そこで入水自殺を図るが、月照は死に、西郷は生き延びた。その西郷をそのままほおっておくわけにはいかない薩摩藩は西郷を奄美大島へ流す。といっても、一般の罪人ではなく、それなりに丁重に扱われた上である。したがって、島の人たちも西郷を大事に扱おうとする。西郷も薩摩藩の繁栄がこの島の島民に対する搾取の上になりたっていることを自覚する。西郷がその奄美で暮らした三年間、いわば島妻となったのが「愛加那」である。一般の歴史書では彼女の扱いは簡単だ。しかし、ぼくは彼女のことが気になって探している内に本書にたどりついた。本書では、愛加那は西郷の子どもを二人生んでいる。男の子と女の子で、二人はのちに薩摩の西郷家へやられるが、本妻の子でないゆえ、あまりいい待遇は受けなかったようだ。のち西南戦争で西郷について従軍した長男菊次郎は戦争で片足を失い、奄美に帰ってくる。女の子は陸軍大将大山巌の弟の嫁になるが、幸せだったか今一わからない。菊次郎の方は、薩摩時代、アメリカに留学したこともあったので、愛加那はこの子を貿易に従事させようとするが、自暴自棄になった長男はなかなか動こうとしない。しかし、やがて母の愛によって菊次郎は思い直し、薩摩から東京へ出て、政府の役人になりアメリカ、イギリスで学んだ知識で活躍する。一方、愛加那はその後西郷と会えたかというと、二度会っている。一度は西郷が久光とぶつかり、今度は罪人としてより遠い島へ流される途中と、そこから再び薩摩へ帰るときである。本書は、あくまで島妻であることを自覚しつつ、二人の子どもを育て、最後まで西郷への愛をつらぬいた愛加那の悲しくも力強い生涯を島の風景とともに美しく描いている。

Posted by ブクログ

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