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アトリエの姉妹 悦文庫
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アトリエの姉妹 悦文庫

深草潤一(著者)

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アトリエの姉妹 悦文庫

770

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 イースト・プレス
発売年月日 2016/03/10
JAN 9784781614182

アトリエの姉妹

¥770

商品レビュー

4

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2016/05/15

哀しい過去を持つ妹と淫靡な過去を持ち続ける姉

彫刻の原型となる塑像を作ることを彫塑と言うが、それを作品にしている芸術家がヒロイン【菜摘子】の称する「彫塑家」なのであろう。そんな菜摘子からモデルを依頼された主人公は25歳と年齢がはっきりしているのに対して菜摘子は30代前半、後に登場する菜摘子の妹【彩香】は12歳年下と曖昧に留め...

彫刻の原型となる塑像を作ることを彫塑と言うが、それを作品にしている芸術家がヒロイン【菜摘子】の称する「彫塑家」なのであろう。そんな菜摘子からモデルを依頼された主人公は25歳と年齢がはっきりしているのに対して菜摘子は30代前半、後に登場する菜摘子の妹【彩香】は12歳年下と曖昧に留めている。父の再婚相手の連れ子である彩香とは一見すると血縁のない妹のようだが実はそうでもなく、ここに本作の秘密の1つが隠されている。そして、他にも哀しく淫靡な秘密があり、それらが徐々に明らかとなっていくことが物語を退廃的に彩ることもあって、ヒロインの年齢などは少々謎めいていた方が良いのかもしれない。 モデルとして相対する主人公が菜摘子の視線を感じて思わず昂らせてしまうのは予想できるストーリー展開。このアトリエでの経緯を基本とし、手淫からお口奉仕といった前戯が章を跨いでじっくり描かれている。その分だけ合体描写は後半からとなるのだが、2人の距離が縮まっていく様子も織り込みながらなので致し方ないところであろう。しっとり施される濃密な描写によってさほど物足りないとも感じなかったのは好印象。官能スイッチが入ってからの妖艶な変化も興奮を誘う。さらには合体してから後の積極さにも良いいやらしさがあった。お尻にも寛容なのは官能的オトナの女といったところか。 この2人が気になるのか、時折アトリエにやって来たり密戯を覗き見たりするのが彩香。主人公も気になっており、次第に肉体寄りの菜摘子・精神寄りの彩香といった心持ちへと傾いていく。そうなる理由が2人にはあるからである。菜摘子と彩香の姉妹、菜摘子の師匠でもある父、菜摘子と義母、菜摘子の元恋人と彩香。この家庭の過去から現在までを長く引っ掻き続ける哀しくも淫靡な爪痕を主人公はどう見るのだろうか、そして、トラウマを抱えた彩香の幸せを願う菜摘子の思惑は何だろうか。そんな感慨をも抱くドラマ性が湛えられている。細かな心情を巧みに盛り込みつつ、場の絵が浮かぶような描写の秀逸さが成せる技でもあろう。 清楚で可憐な風情ながら実は男に対する好奇心は旺盛という彩香とも関係した主人公を(ちょっぴり嫉妬しつつも)責めるでもなく、かと言って自らにかけられた疑念を断固として否定するでもなく、諸々の渦中にありながらイイところは妹に譲る姉らしさを見せた菜摘子の切ない心中が最後に描かれたことで物語としての着地は良好だったものの、最後の最後に限り官能描写を含めて駆け足だったのが悔やまれる。

DSK

2024/04/03

ジャンルがジャンルだけど、これだけ濡れ場を詰めながらストーリーをちゃんと組み立てる手腕はプロの仕事でした。最後の一文が印象的で素敵。

Posted by ブクログ

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