商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784104471058 |
- 書籍
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その姿の消し方
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その姿の消し方
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商品レビュー
4.2
29件のお客様レビュー
絶対に媚びない。ただ文体との戯れの中で続いていくこの小説が好きだ。主人公が絵葉書をきっかけに惹かれていくアンドレ・ルーシェとその周辺の生活について、まるで見てきたかのように書かれているがそれは主人公の推測の域を出ていない部分が多くある。ダニエルや土地の人々を媒介として話を聞く場面...
絶対に媚びない。ただ文体との戯れの中で続いていくこの小説が好きだ。主人公が絵葉書をきっかけに惹かれていくアンドレ・ルーシェとその周辺の生活について、まるで見てきたかのように書かれているがそれは主人公の推測の域を出ていない部分が多くある。ダニエルや土地の人々を媒介として話を聞く場面もあるが、そこからわかる事実も少ない。挙げ句の果てには何が何だか分からずじまいで終わってしまう始末である。が、この小説はミステリではないのだからそれでいい。主人公が何を考えたのか、そこが重要なのである。一個人の思考を中心とした物語はえてして閉鎖的になりがちなのだが、この物語はむしろ世界の輪郭を広げていく斥力のような力強さを感じた。
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葉書に記された10行詩を巡り、その作者の孫や近しい人たちとの交流が書かれている。 その思索や言葉の流れがとても美しい。 乾いた枝葉の香りが漂う。
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好きな感じだった。こういうイイ感じの本は久しぶり。舞台がフランスだからというのもあるけど、トーンがいい。村上春樹さんの描く『僕』っぽいトーン。話も面白いし、内容も興味深いし、すごく良かった。 ----------- 読むという行為は、これはと思った言葉の周囲に領海や領空...
好きな感じだった。こういうイイ感じの本は久しぶり。舞台がフランスだからというのもあるけど、トーンがいい。村上春樹さんの描く『僕』っぽいトーン。話も面白いし、内容も興味深いし、すごく良かった。 ----------- 読むという行為は、これはと思った言葉の周囲に領海や領空のような文字を置いて、だれのものでもない空間を自分のものにするための線引きなのかもしれない。詩でも散文でも、この方向で答えを見出そうと読みを重ねているうち、差し出されている言葉のすべてが、しだいにいわくありげな、解釈につごうのよい顔つきになってくる。言葉が思念を誘い出すのではなく、こちらが言葉に幕を掛けたり外したりしながら錯覚を生み出そうとしているだけなのに、私たちはそれをしばしば高尚な読みと称して納得しようとする。(p73より引用)
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