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人口・資源・領土 近代日本の外交思想と国際政治学 叢書21世紀の国際環境と日本004
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人口・資源・領土 近代日本の外交思想と国際政治学 叢書21世紀の国際環境と日本004

春名展生(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 千倉書房
発売年月日 2015/08/01
JAN 9784805110669

人口・資源・領土

¥4,620

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2024/01/01

国際政治学が日本において一個の独立した学問領域として成立する前夜、明治から15年戦争期にかけて、この分野における探求に大きな影響をあたえたのは、ダーウィンの進化論、またマルサスの人口論であったという。より通俗的にいえば、この時代に研究者や政治家、一般の人びとの関心を煽り立てたのは...

国際政治学が日本において一個の独立した学問領域として成立する前夜、明治から15年戦争期にかけて、この分野における探求に大きな影響をあたえたのは、ダーウィンの進化論、またマルサスの人口論であったという。より通俗的にいえば、この時代に研究者や政治家、一般の人びとの関心を煽り立てたのは、狭い国土に対して幾何学的に増大する人口を抱える日本がいずれ資源不足に直面するという危機感であり、その解決策として武力に訴えてでも海外に植民地を求めるべきという議論は、「生存競争」という自然法則によって支えられていたのであった。本書は、加藤弘之、有賀長雄、建部遯吾、小野塚喜平次、神川彦松という日本における国際政治学の祖たちにおける進化論的議論をたどりながら、人口・資源・領土の不均衡という当時最大の難題とされたものと彼らがいかに格闘したかを丁寧にたどる。 彼ら5人はそれぞれのかたちで当時において支配的であった進化論を受容していたが、そのありかたは一様ではない。武力に優れた者こそが生き残りの道なのか、それとも弱者も生き延びられる連帯と文明化こそが最適解なのか。日本の人口は過剰に過ぎるのかそれとも国力増強のためにはより多くの人口をもつべきなのか。国際連盟による帝国主義大国間協調の仕組みは力による生存競争に解決をもたらしうるのか。彼らの間にはいくつもの相違点があった。とはいえ、貧困人口の増大という現象は、社会システムの問題としてよりも、人口と資源と領土の不均衡(その適正範囲は決して客観的に明らかにならないにもかかわらず)という自然主義的言説の下で民族的生存に関わる脅威を言い立てる俗論として政治的立場を問わず多くに共有され、将来の不足に脅える日本は領土拡張戦争へと突き進むことになったのであった。そうした進化社会主義的見方を暗黙の背景として生まれてきたのが地政学であり国際政治学であるという指摘は、今日においても自然資源をめぐる獲得競争こそが最もあからさまな国家暴力の現出する場であることをあらためて考えさせられる。とともに、「政治」の概念において「自然」と概念されるものの想定がどのような役割を果たしているかもまた批判的に考える必要があるだろう。しかし本書の議論は、この根本的な議論の枠組みそのものについてはあまり明確な形で問題化していない。むしろ人口・資源・領土の不均衡が今なお政治を制約する条件であり続けていると考えているかのように見えるが、生殖・人口、民族といったものの「自然」性の虚構もまたこれまでに明らかにされてきたのではなかったのだろうか。興味ぶかく読んだけれども、もう少し違う角度からの批判的議論が読みたい。

Posted by ブクログ

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