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旅の書物/旅する書物
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旅の書物/旅する書物

松田隆美(編者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 慶應義塾大学出版会
発売年月日 2015/09/30
JAN 9784766422610

旅の書物/旅する書物

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2019/07/17
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 実際に旅をするとき、われわれはしばしば書物を携行する。現代イギリスの小説家デイヴィッド・ロッジは、1週間ほどのたびに持っていく本を選ぶ英文学専攻の大学教授の姿を滑稽に描いている。「彼は外国のホテルや鉄道の駅で何も読むものが亡くなって手持ちぶさたになることに病的な恐怖を抱いていたので、いつも多すぎる本を持って旅行をした。それらの本の大半は読まずに家に持って帰ってきた。」(p.iv)  多くの民は、武器や血によって強制されるのではなく、宗教によって導かれて従う。現世の祖国を守るため血が流されることはなく、虐殺が侵されることもない。しかし、われらが主なる神であるイエス・キリスト、すなわち真に至高の皇帝の座、そして真に永遠の宗教の座と椅子と住まいがローマに築かれ、1400年間にわたる殉教者たちの勝利がもたらされた。栄光に満ちた永遠のローマのあらゆる神殿や教会や聖所に存在する聖遺物を通じて、今、地上の多くの地で、ローマの都の名を、かつて(恐怖の)震えに寄るのが常であったときよりも、優しい傷によって崇めている。(p.100) 「使行録」は、単なる個人的な旅日記ではない。通信使は国家的な使命を帯びた外交使臣であり、筆者は王朝の高官たちばかり、それも帰国後の公的報告書として国王の眼にとまることを覚悟しなければならない。このため書き手の側に、自国や自身に不利な印象を与えるような出来事の記述は自制しようという意識が働く。「使行録」にだけ依拠して通信士を見ようとすると、逆に描かれなかった多くの事柄を見失ってしまう恐れがある。(pp.150-151) 『西遊記』の玄奘の旅は、害を為す妖怪たちの八十一難を乗り越えるという構図を持ち、「たび」が苦難に満ちたものであるという古代以来のイメージを基調として踏襲している。しかしその一方で、苦難の果てには悟りの境地が開け、故郷に錦を飾ることができるという大団円が約束されている旅でもある。その意味では、「旅」に対するネガティブなイメージを乗り越え、たくましい想像力と好奇心を以って紡がれたポジティブな「旅」の物語である。(p.9)

Posted by ブクログ