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中野京子と読み解く名画の謎 対決篇
1,815円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2015/07/01 |
JAN | 9784163903088 |
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中野京子と読み解く名画の謎 対決篇
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中野京子と読み解く名画の謎 対決篇
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商品レビュー
3.8
14件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
二つの作品を対比して、比べることで見えてくる意外な発見を楽しむ趣向の著作。 まず、表紙からして目を引く。左側はオーストリア=ハンガリー帝国皇后エリザベート。右はフランス皇妃ウージェニー。同じ画家が描いた肖像画だけに、絵の質に差がないと仮定すれば、妃個人の資質が描き出されるのか。しかし儚げに見えるウージェニーはエピソードから見れば、理知に長けていて、時に冷酷だ。エリザベートの義弟マクシミリアンの銃殺にフランスが関わっていることから、対面した二人であるが、対面の機会が機会であるだけに、親密にはなれなかっただろう。 中野京子さん著作でよく取り上げられる、「メデュース号の筏」。この怖いもの見たさから惹きつけられる作品がハリウッドのパニック&サスペンス映画につながる、とは「なるほど」と思った。ジェリコーが「メデュース号の筏」を描くために、死体を何枚もスケッチした、という話は知っていたが、ハリウッドにつながるとは、それまでは怖いもの見たさの作品がなかったのだろうか。これに対比されているのが「ワトソンと鮫」コプリー作。この絵も別の中野京子さん著作で見たことがある。やはり私もジェリコーの方が画力があるなあ、と感じる。どちらの作品も絵が描かれたエピソード込みで知られるようになったのは共通している。 19「飲んだくれ」の章。どちらも初見の絵画だった。私も酒を飲むが嗜む程度である。この章で取り上げられているのが、ドガ「カフェにて」とレーピン「作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像」。ドガは印象派でレーピンはロシア・リアリズムの巨匠。作風が全く違うけれど、どちらにも哀しみが漂っている。「カフェにて」に描かれる男女、特に女性の諦めのような表情。目の前にはアブサンという酒。このような境遇の女性がこの頃には星の数ほどいたことだろう。飲まなきゃやってられない。そんな気持ちだろうか。この当時のアブサンは幻覚作用があったらしく、20世紀には欧米のほとんどで製造販売が禁止される。再び解禁されたが、それは以前のアブサンとは違う。ゴッホが耳を切り落としたときにアブサンを飲んでいたというのは知らなかった。このような境遇の女性の先行きを考えると暗澹たる気持ちになる。例えそれが、過去の出来事であっても。「ムソルグスキーの肖像」はムソルグスキーの音楽が理解されなかった、時代を考えると悲しい。農奴解放令で突然に経済状況が悪化、母の死、アルコールへの逃避。「展覧会の絵」や「はげ山の一夜」をたくさんの人が評価するのはもっと後のことだけれど、天才レーピンはムソルグスキーの才能を当時から高く評価していたという。自らの埋葬費用がないムソルグスキーのために肖像画を描き、売ってそれに当てるのが目的だったという。ムソルグスキーの才能が分かっていれば分かっているほど、レーピンは辛く悲しい絵画だっただろう。 知っている絵もあれば、まだまだ知らない絵もある。とても面白かった。
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「怖い絵展」とかをやっている 有名な人ですよね。 絵画をそのような斬新な切り口で 紹介してもらい、 実際に平易な文章なので、 読みやすかったです。 でも、 「対決」となると、 もっと対決感を期待してしまった。
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レーピンは中野京子の本で知った画家だ。今回も、目を引くなと思った絵画はレーピン作だった。眼光鋭いモデスト・ムソルグスキーの肖像。レーピンは人間の中の不条理を好んで描いたように思う。 美男対決も見応えあり。
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