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永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」 文春新書1031
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2015/06/19 |
JAN | 9784166610310 |
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永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」
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永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」
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商品レビュー
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かの「永田の前に永田なく、永田の後に永田なし」と評される日本陸軍の至宝、永田鉄山の生涯を綴る一冊。永田は昭和10年に同じく陸軍中佐の相沢三郎の刃に沈むのだが、仮に永田が生きていれば大東亜戦争は起こらなかったとも言われる大人物である。永田を一言で説明するのは難しいが、長野県に生まれ...
かの「永田の前に永田なく、永田の後に永田なし」と評される日本陸軍の至宝、永田鉄山の生涯を綴る一冊。永田は昭和10年に同じく陸軍中佐の相沢三郎の刃に沈むのだが、仮に永田が生きていれば大東亜戦争は起こらなかったとも言われる大人物である。永田を一言で説明するのは難しいが、長野県に生まれ、幼少期より一貫して正義を貫き悪きに屈せず自身の主張を最後まで貫徹した点で実直、世界と照らした日本の現状と将来を憂い平和のために国家総動員を推し進める先見性など、真っ直ぐで誠実な天才であった事は間違いない(自分の語彙力では上手く言い表せないが偉大な人材)。陸軍士官学校16期の岡村寧次、小畑敏四郎と並び陸軍の三羽烏と言われ、後々まで親交を深める。バーデン・バーデンの密約も有名な話だ。 傑出した人材であればこそ周囲に多くの敵を作るのはよくある事だ。永田は対ソ戦略についても長期的展望を持ち、関東軍の対支那強行戦略にも反対の立場を採る。よってもう1人の天才石原莞爾とも対立的な立場となる。この事から弱腰と揶揄される事も多かったが、果たして機械化近代化を推し進め、広大な領土を持つソ連を駆逐する事が当時の関東軍に可能であっただろうか。また国共内戦を抱えて思想信条不統一でありながらも膨大な人口と領土を持つ中国相手にどの程度戦えたのだろうか。ましてや中国を相手にする事は、太平洋を挟んで背後にあり、中国進出に野心のあるアメリカを敵に回す事になる。アメリカは世界最強の軍事力と工業力を持っているにも関わらずだ。 そう言った意味で、全てが終わり去った現代の人間(私)が、簡単に評するのは失礼な話だが、永田の考えであった暫時国力を増進し、来るべき日に備える方が余程現実感がある。 因みに石原の世界最終戦争論もこれはこれで圧倒的な先見性に驚かされるが、多少ぶっ飛んだ内容でもあり現実感はやや薄れる。関東軍の最前線にあったからこそ対支那戦略などでは現実的なものであったろうが、西欧やアメリカ、ソ連など世界規模で見た場合は、やはり日本の国力と現状を冷静に判断できていたのは永田の方だろう。 こうして天皇を拝し権力の統一を図った上で、一挙に中国とソ連に立ち向かう皇道派と、それに属さず陸軍内部の統制を図ろうとする統制派との抗争に永田は巻き込まれていく運命にある。こうした状況では永田を悪に見立てるための怪文書も多く飛び交い、陸軍の血気盛んな若者達は徐々に過激さを増し、永田の身辺にも危険が迫っていくのである。 なお当初前述のバーデン・バーデンの密約のメンバーと共に反戦的な立場をとった東條英機も、最後はやるしかない状況に徐々に追い込まれ、結局はA級戦犯として処刑される。最後まで一貫して自身の主張を貫いたまま暗殺された永田と、最終的には折れて太平洋戦争の指導的立場となり結局は処刑される東條は対象的だ。永田の生き方は後に最後の海軍大将となる井上成美(阿川弘之著)とも重なる。 本書では永田の周囲に登場する多くの人々とのやりとりも面白い。同じ想いを描きながら支え合う仲間だけでなく、永田を引き上げる陸軍上層部、対立する面々、いずれも太平洋戦争史を読めば名前が頻出する人々ばかりだ。そうした人々との人間関係や、永田が残した数々の功績が新書の形で小気味よく頭に入ってくるのが嬉しい。 最終的に相沢中佐に殺害された後の、家族や友人達の悲しみようを描いている辺りでは、若干永田への想い入れが強くなり、結末がわかっているにも関わらず、何とか助かりはしないだろうかという気持ちにさえなる。相沢の裁判での発言も興味深い。 以上、歴史にifは禁物とわかっていながら、殺害が無かったら、相沢の乗る列車が運行中止になっていたらと、その後の2.26事件を経て太平洋戦争へと突き進む事態は果たしてどうなっていただろうかと、想像を膨らませながら静かに本を閉じた。
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もし彼があの時に暗殺されなければ、陸軍の暴走に歯止めをかけられた人物の筆頭だったはず、という仮説を検証した内容です。 白昼陸軍施設内での斬殺事件を受け、永井荷風の日記には、「政党の腐敗、軍人の過激思想、国民の自覚無き事という三事が日本現代の禍根なり」と記した。 日本が全国力を上げ...
もし彼があの時に暗殺されなければ、陸軍の暴走に歯止めをかけられた人物の筆頭だったはず、という仮説を検証した内容です。 白昼陸軍施設内での斬殺事件を受け、永井荷風の日記には、「政党の腐敗、軍人の過激思想、国民の自覚無き事という三事が日本現代の禍根なり」と記した。 日本が全国力を上げて、対外交渉をしなければならない時点においてさえ、陸海軍間での覇権争い、統制派と皇道派といった思想の対立を内部に抱えていた点で、日本の敗戦は決まっていたのでしょう。さらに、私腹を肥やす政治家の存在や、マスコミに踊らされ「戦争」を煽る国民など、本当に日本の未来を真剣に考えて行動する人材がこの国にいなかったのは不幸でした。そんな中で、永田鉄山がバランスの取れた国際派であり良識派だったのは間違いありません。歴史に「もし」はありえませんが、彼なら「支那事変の発生を未然に防ぎ、国論の帰一と軍民の一致を実現し、軍を統制できた」と想像させる人物であったのは確かです。さらに言えば、永田を失った後に出てきたのが、小心者の東条英機だったことも不幸でした。こうしたテロは連鎖を生み2.26事件などの軍人の暴走につながっていきました。 勇猛果敢な日本の「サムライスピリッツ」なるものが、戦中には「問答無用のテロ」や「玉砕」などといびつに変容していたのもなんとも哀しい。 本書PR: 斬殺事件から80年 昭和陸軍「スーパーエリート」の人生 戦後70年の夏がやってきます。なぜ日本は太平洋戦争にむかったのか。いや、そもそも日本軍はなぜ中国、満洲に権益を求めて暴走したのか。さまざまな観点から、昭和史の議論が熱くなる夏になりそうです。 本書の主人公、永田鉄山は「陸軍の至宝」「永田の後に永田なし」とまで言われた、日本陸軍史上最高の「エリート」とされた人物。50歳で陸軍省の要職中の要職、軍務局長に抜擢されますが、1年後、白昼の陸軍省内で陸軍中佐に斬殺され、日本中に衝撃を与えます。 なぜ、スーパーエリートは殺されたのか。そして、彼が生きていたら、日本の歴史はどう変わっていたのか。 これまでに「樋口季一郎」「松井石根」の軍人評伝を文春新書で書き上げている早坂隆さんによる筆は、エリートだからこそ背負わねばならなかった運命を様々な証言、資料から編みあげていきます。 かつて理想を掲げあった仲間と溝が深まってゆく目標の違い。相次ぐクーデター計画と怪文書が飛び交う陸軍内の「派閥抗争」。永田が闘い続けたものとは何であったのか。昭和史上もっとも衝撃的な事件の真相に迫る、ノンフィクション評伝の誕生です。
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※このレビューにはネタバレを含みます
軍の存在は戦争を回避するとこという真っ当な軍人の思考をもった人だなと思う。 個人の存在で戦前日本の歴史の流れが大きく変わったかどうかは不明だけども、永田鉄山はこの人がいたら、と思わせる魅力があったのは分かる。
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