商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 書肆侃侃房 |
発売年月日 | 2015/06/01 |
JAN | 9784863851863 |
- 書籍
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うずく、まる
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うずく、まる
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商品レビュー
4.8
5件のお客様レビュー
色や音や風景が目の前に溢れて、共鳴するような歌がたくさんあった。自分の求めていた世界が見つかった感覚。今いちばん好きな歌人。
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Ⅰ 短歌が歌みたいだって 気づいたら 詩ってなんだろうって思った エッセイって なんだろうって 思った 散文は 小説は どこからどこが線引きで その境目は どこにあるんだろう て 分からなくなった ただ心が見たものを 描いたら それをなんて呼べばいいのかわからな...
Ⅰ 短歌が歌みたいだって 気づいたら 詩ってなんだろうって思った エッセイって なんだろうって 思った 散文は 小説は どこからどこが線引きで その境目は どこにあるんだろう て 分からなくなった ただ心が見たものを 描いたら それをなんて呼べばいいのかわからなくて とりあえず「詩」て 読んでみた ポエムじゃない やっぱり「詩」なんだって 思った いつまでも浮かぶ月のように どこかで揺れる花のように いつか終わる夜のように 言葉にならない風景を 言葉にしたら 泣きたくなった 生きたい 死にたい 消えたい ここに居たい 今すぐ ずっと どこか 遠くに行きたいと 思った 空の向こうのような 言葉の 彼方のような 風に乗る 潮騒のような 香りがした どこかで繋がっているのなら 一人にはならない 独りになんて なれない Ⅱ 触れられなかった光が 明るく 淡く 滲む 触れたかった月に手を伸ばして 触れても掴めないかもしれないと躊躇って 見ないように目を瞑ってうずく、まる 星の光は消えてくれないから 溶けない氷のように 胸の中で波を打つ 目を開いて 近づかなければ触れられないから 怖くても 握りしめて 全部知ることができないから せめて握りしめて 満月のような欠片を胸に抱く うずく、まるは温かいから 氷は温もりで溶けて 心の風景に重なる 知らない世界は知っている世界と交差して 月と太陽が出会うように それは星の瞬く夜のように眩いから 知っているはずの場所に 新しい色が混じる まだ知らない場所は 掌で馴染んでいく宝石のように 冷たくても 体と同じ温もりになるから 大切な場所になる これはまるで冒険のようだから ここは音を探せば雨のように溢れている場所だから 宝物を探す旅の中で 春の音は夏の中でも輝く 銀色の煌めきは 花のように波打って 海のように散りばめて 風吹けば嵐のよう 一欠片の氷さえ星のよう 巻貝のような 掌の色彩が溶けて 胸の中は珊瑚のように色付いていく 陽光のように移ろいながら 道は虹のように続いていく ――果てしない空の中で
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※このレビューにはネタバレを含みます
とても素敵な歌集です。与謝野晶子以来の衝撃を受けました。大地に根ざしていること、対称性、圧倒的な突破力。「銀の滴降る降る降るまわりに(シロカニべランランビシカン)ささやけば輝きながら凍りつく息」「うずく、まるわたしはあらゆるまるになる月の光の信号機前」「音だけの花火を聴いたぎんいろのテレビのむこうガザにつながる」。三つの力が溢れでています。旭川郊外での暮らし、物事を均衡に捉える眼差し、本質を直接的に発射する表現力。畏れ多いので返歌としてではなく、習作として師事を期待して「うずく、まる 渦に九つ丸をうつ ゴッホを模写した 十歳の夏」「うずく、まる 与謝野晶子を越えてくれ バスクで何もできない私」小学校高学年、中学生、高校生にぜひ読んでほしい歌集。「子供らが初めて触れる善き短歌かってに返歌大会しよう」
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