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バンディーニ家よ、春を待て
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バンディーニ家よ、春を待て

ジョン・ファンテ(著者), 栗原俊秀(訳者)

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バンディーニ家よ、春を待て

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 未知谷
発売年月日 2015/05/01
JAN 9784896424706

バンディーニ家よ、春を待て

¥3,300

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2024/01/10

移民をめぐる文学に紹介されている本。 読書会課題本の関連本として読みました。 イタリア系の著者が自分の経験を元に書かれた三部作の一作目らしい。(読書会課題本は二冊目。) 参考ページ https://note.com/michitani/n/n25f27a97e790?magaz...

移民をめぐる文学に紹介されている本。 読書会課題本の関連本として読みました。 イタリア系の著者が自分の経験を元に書かれた三部作の一作目らしい。(読書会課題本は二冊目。) 参考ページ https://note.com/michitani/n/n25f27a97e790?magazine_key=me352ff536670 イタリアからコロラドに移民したバンディーニ家のある冬の物語。 父ズヴェーヴォと母マリアはイタリア移民で、三人の息子、アルトゥーロ、アウグスト、フェデリーコはアメリカで生まれたようだ。 一家はかなりの貧乏で、住んでいる屋敷は支払える見込みがない。屋敷の隣の食料品店では支払えるはずのない「つけ」を溜め続ける。 ズヴェーヴォは煉瓦職人だが仕事をしているのかしていないのか、マリアは敬虔なクリスチャンでただただ神に祈る。 冒頭はズヴェーヴォが夕方家に雪道を家に帰る場面なのだが、<彼は家に帰る途中だった。けれど家に帰ることに、いったいなんの意味がある?P5>という文章でこの閉塞感が現れる。 14歳のアルトゥーロは自分がイタリア人ということに心底うんざりしている。母マリアがいかにもイタリア人女性のような年のとり方をしていることにうんざりしている。二人の弟をぶちのめすこともあるし、母マリアの財布から小銭を盗むことも日常だ。カトリック系の学校にもうんざりしているが、同じクラスのローザのことを熱烈に恋している。ローザ・ピネッリもイタリア人だけれど仕方がない。 ローザのピネッリ家は、バンディーニ家よりは生活に余裕があるようで、貧しく粗野なバンディーニ家とは関わりを持ちたがらない。 そんな冬のクリスマス前の時期に、近所の人たちから「ズヴェーヴォが、金持ち未亡人エッフィー・ヒルデガルドの家に出入りしている」と聞かされる。アルトゥーロとアウグストも、父ズヴェーヴォがヒルデガルド未亡人と一緒にいるところを目撃する。 「母さんに言う」というアウグストと、「絶対に言うな!」というアルトゥーロ。 一家の冬はどう越すのか。 === 「春を待て」という題名どおり、冬の寒さを表す描写が多い。それは金としての寒さでもあり、「うまくいいかない」という閉塞感も感じる。 アルトゥーロは自分を「アメリカ人」と思っているが、学校でも「貧乏で泥棒イタリア人」と思われている(乱暴者ではあるが、他人の物を盗んだことはない)。 ズヴェーヴォは一家の父としてどっしりと家族を支えたいのだけれど実動が伴わない。親しくなったと思った相手に「あんたたち外国人にはうんざりする」ともいわれる。 しかしアルトゥーロはやっぱり父ズヴェーヴォのダメさも含めて親近感を持っているのかな、若い金持ち未亡人と一緒にいるときに豪華な服を着ているのをみて「実に立派だぜ親父、王様みたいだ。親父がそんな立派な姿でいられるんなら俺たちは飢えたってしょうがないし、母さんは泣かせときゃいいんだ」なんて考える。 そんなアルトゥーロだが、ある出来事を経たり、うんざりしてた母とも少し触れ合ったりする。そしてラストではアルトゥーロの動きにより一家が危機を乗り越えることになる。 はっきりと春が来たのではない、しかし「いつまでも冬ではない。春は来るんだ」と思うような終わり方だった。 文体としては、同じことを何度も繰り返すのが特徴的だった。  家には妻マリアが待っている。妻の名はマリアだ。そして妻のマリアが待つ家には… みたいな感じ。

Posted by ブクログ

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