現代中東の国家・権力・政治

ロジャー・オーウェン(著者), 山尾大(訳者), 溝渕正季(訳者)

• 販売会社／発売会社: 明石書店
• 発売年月日: 2015/02/01
• JAN: 9784750341408

商品レビュー

2019/06/17

【国家が、権威主義体制によって作られた全能というベールを剥がされ、常に背後に横たわっている対立的で矛盾した多くの利害に晒された時、そこに浮かび上がってくる問題や現象の意味をどのように解釈するか、という点ことが重要なのである】（文中より引用）

中東における近代国家の成立、そして国家と社会との相互作用を研究した一冊。概念的な話から具体的な話までを網羅し、中東を理解する上で欠かせない諸要素に光を当てています。著者は、ハーバード大学で中東研究センター長を務められたロジャー・オーウェン。訳者は、共に中東の専門家として活躍されている山尾大と溝渕正季。原題は、『State, Power and Politics in the making of the Modern Middle East』。

国ごとに時系列的に情報を並べるのではなく、経済、社会、宗教などの分野ごとに中東における国家の特徴をあぶり出している点が新鮮でした。中東の特殊性を殊更に強調するのではなく、普遍性や不変性をしっかりと念頭に置きながら議論を進めるその姿勢にも好感が持てました。

入門編のその先として☆5つ

2019/03/23

久々に大学のクラスに戻った感覚。
先行研究を批判的に吟味し、自身の経験と合わせてイランからモロッコに及ぶ広大な範囲の歴史を極めて丁寧に書き上げた本作。

アラブと非アラブを区別して記載しているところが少しきになったが、書架にはおいておきたい一冊。

2015/04/28

1948年以降、イスラエルのユダヤ人のあいだには、イスラエルはユダヤ国家であるべきだというほとんど普遍的な合意が存在してきた 。