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俺の女課長 祥伝社文庫
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俺の女課長 祥伝社文庫

草凪優(著者)

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俺の女課長 祥伝社文庫

660

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 祥伝社
発売年月日 2015/02/01
JAN 9784396340933

俺の女課長

¥660

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2015/03/08

不可解な意気込みが徒労と虚無を招く痛々しさ

以前から絶えないネタながら昨今賑やかしいゴシップもあるためか、本作の題材は枕営業である。それを企業の営業活動に転化したのは1つのアイデアとも言えるが、それにより実現不可能な目標を強いる嫌がらせの色合いが醸された結果、まるでドン・キホーテのように無理な突進を繰り返す痛々しさが目立っ...

以前から絶えないネタながら昨今賑やかしいゴシップもあるためか、本作の題材は枕営業である。それを企業の営業活動に転化したのは1つのアイデアとも言えるが、それにより実現不可能な目標を強いる嫌がらせの色合いが醸された結果、まるでドン・キホーテのように無理な突進を繰り返す痛々しさが目立っている。この肉弾接待を部下にも強いる女課長の、見返してやろうという意気込みの空回りが却って社畜にも見えてしまう皮肉な哀れが漂う作品と言わねばならない。最後の最後で我に帰ったかのように見えたのが唯一の救いなのだろうか。それにしても誰が主役なのか分からない虚しさが一貫して描かれた本作の読後感を何と説明すれば良いのだろう。 思うに本作を誘惑路線と同列に置いてはいけないのであろうと結論づけることにした。強要されたノルマのために悲愴感がMAXな女課長は卑屈になるばかり。最初から色仕掛けを念頭に置いた接待に活路を見出そうとするも、エスカレートしていく要求は次第に枕営業となり、遂には部下をも交えた乱交に発展していく。営業部隊唯一の男たる主人公は基本的に指をくわえて見ているしかない状況に置かれ、読み手も悶々とさせられる。 軽蔑されてもおかしくないほどに屈辱的なのは課長も自覚しており、それでも健気に頑張る姿を出したかったのであろうが、主人公が覚える深い感慨に反して読み手はあまり共感できないために、そして、せっかく付された「泣き虫」の設定も中途半端なために女課長の魅力へ繋がっているとは言い難い。 そんな課長を慰めるような情交が主人公とは結ばれるのだが、作中にも示されるように、それは恋とも愛とも言えない傷の舐め合いのようであり、そもそも傷の舐め合いなどリアルな日常では茶飯事なだけにそれを小説でトレースされてもスカッとしない。また、強いられる肉欲に溺れて心がついていかない空虚を描いているようでもあるのだが、これが何とも言えない雰囲気を湛えているために、むしろ一方的な凌辱描写の方が却って良かったのでは?という気さえした。つまり、明らかな凌辱展開でもないのである。 この作品を通じて作者は何を表現したかったのか?が最後まで解消されぬまま、タイトルから想起されるイメージともズレた内容は編集側の纏め方にもフィット感を欠いた作品と言うしかなく、そもそも寝取られのようでありながらそうでもなく、何とも難しいところを狙ったのではなかろうかと感じてしまうところである。

DSK

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