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黒ケ丘の上で
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黒ケ丘の上で

ブルース・チャトウィン(著者), 栩木伸明(訳者)

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黒ケ丘の上で

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2014/08/01
JAN 9784622078630

黒ケ丘の上で

¥4,070

商品レビュー

4.4

8件のお客様レビュー

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2019/01/01

素晴らしかった。 簡素であるが故に想像力を喚起する描写、文体のもつ平熱の体温が、心地よい。 素っ気ない程乾いている様で、しっかりと読み手に温度と湿度が残る、やや薄暗いのだが、暗くはない、その丁度良さというのかなあ。その塩梅が見事で、纏わりつかず、パサパサでもない。 特に死に触れ...

素晴らしかった。 簡素であるが故に想像力を喚起する描写、文体のもつ平熱の体温が、心地よい。 素っ気ない程乾いている様で、しっかりと読み手に温度と湿度が残る、やや薄暗いのだが、暗くはない、その丁度良さというのかなあ。その塩梅が見事で、纏わりつかず、パサパサでもない。 特に死に触れる時のあまりの素っ気なさと、だから読み手に残る何か。そういう関係において、絶妙なんです。 本作のテーマは境界なのだと思う。 表と裏のような性格であり離れて生きる事が出来ない双子。土地。国。信仰。内と外。男と女。世代。昔と今の時代。生と死。それらの力の均衡や共振や軋轢。 そして何より美しいのはそれらが融合しあうかの様に見える瞬間だろう。それらはどれも離れる事のできない表と裏であり、境界があってこそ個も他者もある。 その接合点にフォーカスする様にして描いたのが本作であるならば、あのクライマックスもまた夢と現実との境界なのだろう。 *ある章がプルーストへのオマージュとなっているのだと思うのですが、そういうのを見つけると愉しくてニヤニヤしてしまいますね。

Posted by ブクログ

2017/07/09

いくつかの優れた旅行記と小説を遺し、早足にこの世から去っていった作家、ブルース・チャトウィン。そんな流浪のホメロスが私たちに遺していった、'どこにも行かない人'を主人公に据えた本作は、まさに現代の古典という名にふさわしい名作だと思う。 読み終わった後しばらくの...

いくつかの優れた旅行記と小説を遺し、早足にこの世から去っていった作家、ブルース・チャトウィン。そんな流浪のホメロスが私たちに遺していった、'どこにも行かない人'を主人公に据えた本作は、まさに現代の古典という名にふさわしい名作だと思う。 読み終わった後しばらくの間、感慨に浸っていた。こうして感じる重厚感こそが私にとって名作である証だ。またイングランドとは異なるウェールズの独自の文化を、小説のあちこちから垣間見ることも出来るのがおもしろい。美しい四季の自然や風景の描写と共に、作者が物語の舞台であるウェールズ東部に何度も足を運んだという成果がよく表れている部分だろう。全50章からなる細かい章がいくつも積み重なってゆくごとに、読者である私たちはジョーンズ家と黒ヶ丘を取り巻く物語が神話性を帯びてゆくのに気付くだろう。これはある時代の、とある場所を舞台とした一大絵巻物なのだ。 それにしてもブルース・チャトウィン、なんと豊かな才能なのだろう。彼の作品をもっと読んでみたかったと強く思う。そしてこの名作を素晴らしい日本語訳で私たちへ届けてくださった、訳者の栃木伸明さんにも大きく感謝したい。ありがとうございました。

Posted by ブクログ

2017/05/18

登場人物たちの生活が丁寧に描かれていて、この小説好き!小説の中では悲しい出来事もいくつか起こるけど(若干そちらに寄り過ぎな感じもする)、それでも登場人物たちと読者の生活を肯定している作品のような気がする。

Posted by ブクログ

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