鼡径ヘルニアの歴史 なぜこどもと成人で手術法が違うのか

川満富裕(著者)

• 販売会社／発売会社: 時空出版
• 発売年月日: 2014/05/01
• JAN: 9784882670544

商品レビュー

2014/08/10

期待して読んだだけに残念。

古代・中世の話は歴史としてはおもしろいんだけど、クーパー以前の歴史はさすがに今につながらない。クーパーこそが、内鼠径輪から外鼠径輪につながる鼠径管という管を想定し、後壁（横筋筋膜）という概念を確立した、というのは大変参考になる話。

で、小児と成人の違い。小児も成人も全部症状突起開存というのはちょっとなあ。最後まで読んでがっかりしてしまった。内鼠径ヘルニアはほぼ無視されている、というのも小児外科的な視点だ。小児は鞘状突起の開存で、成人は開存のパタンと圧出型のパタンとがある。という解釈でいいはずだけどなあ。
そもそも成人も全部鞘状突起開存というのはない。サックと別に明らかに症状突起が存在する症例あるし。横筋筋膜スリングによるシャッター機構というのもそれなりに受け入れられている説だし、これで説明はつくと思うんだけど。