小学生までに読んでおきたい文学(1) おかしな話

松田哲夫【編】

• 販売会社／発売会社: あすなろ書房
• 発売年月日: 2014/03/19
• JAN: 9784751527412

商品レビュー

2024/04/15

このシリーズ面白いんだけど、まあ並みの小学生には無理かもね、というのは前回と変わらず。集中力が激減している大人には、それぞれ違った短編が次々に出てきて、飽きなくてよい。

2023/09/25

松田哲夫編『小学生までに読んでおきたい文学 1 (おかしな話)』（あすなろ書房）
2014.3発行

2023.9.24読了
猫の事務所
　悪人にすら同情を示す宮沢賢治らしい作品。ほのぼのとした雰囲気が漂っているが、描写されている内容自体は重い。差別者と被差別者の共存がいかに難しいかを物語る作品になっている。

詩人
　阿刀田高のようなどんでん返しの作品。秀作。

時そば
　ノリツッコミが面白い。日本を代表する作品ですね。

ハリー
　はたから見ると不幸な一生に思えるが、ハリー当人にとっては幸せな一生だったのではないだろうか。

悪魔
　教訓的な寓話。欲には限りが無いというけれど、欲に目が眩めば、人間、これほど貪欲になるのかという話だった。

ゾッとしたくて旅に出た若者の話
　愚鈍な弟が聡明な兄より栄達するというよくある話なのだが、弟に全く共感できないところが斬新と言えば斬新。

猫の親方あるいは長靴をはいた猫
　たかが猫一匹が王様や人喰い鬼を出し抜いていくところが痛快で面白い。

もてなし
　ムーミン谷のムーミン一家のような懐の深さ。これだけ来客が絶え間なければ、話題に事欠かないだろう。羨ましくはないが。

そんなこたないす
　作品の内容そのものよりも、よくもまあこの本に掲載したなという感慨の方が深い。

酒虫
　『聊斎志異』の話を現代版に翻案したお話。この作品を読むと、Mr.Childrenの「跳べ」を思いでしまう。
　浴びるほど呑んだのに調子が良い。理由は分からないけど、実際そうだったんだから、それでいいじゃないか、と。

壁向け男
　奇妙な力を手に入れてしまったがために転落してしまう男の話。よせばいいのに、変に顕示欲が起こって身を破滅させてしまう。宝くじに当たった人が破滅するのと同じか。

たたみ往生
　新作上方落語として発表された作品。占い師の言葉を字義どおりに受け取って行動するところが面白い。

夢たまご
　これは多分笑い話だろう。でも、人の一生なんて、終わりが近づけば過去はすべて夢みたいに思えるのかもしれない。

手品師
　物や自分の命を大切にしろということだと受け取った。

【収録作品】
猫の事務所/宮沢賢治
詩人/モーム著 行方昭夫訳
時そば/桂三木助述 飯島友治編
ハリー/サローヤン著 関汀子訳
悪魔/星新一
ゾッとしたくて旅に出た若者の話/グリム著 池内紀訳
猫の親方あるいは長靴をはいた猫/ペロー著 澁澤龍彥訳
もてなし/カポーティ著 河野一郎訳
そんなこたないす/L・ヒューズ著 木島始訳
酒虫/芥川龍之介
壁抜け男/エーメ著 中村真一郎訳
たたみ往生/中島らも
夢たまご/半村良
手品師/豊島与志雄

URL：https://id.ndl.go.jp/bib/025167757

2022/11/24

【収録作品】
宮沢賢治「猫の事務所」/モーム「詩人」/桂三木助(演)「時そば」/サローヤン「ハリー」/星新一「悪魔」/グリム「ゾッとしたくて旅に出た若者の話」/ペロー「猫の親方あるいは長靴をはいた猫」/カポーティ「もてなし」/L・ヒューズ「そんなこたないす」/芥川龍之介「酒虫」/エーメ「壁抜け男」/中島らも「たたみ往生」/半村良「夢たまご」/豊島与志雄「手品師」

「夢たまご」が不思議で印象に残った。胡蝶の夢。夢と現実が曖昧になる。
「そんなことないす」「壁抜け男」も変な読後感。
なんともおかしな話たち。寝る前に読むと別世界に行ける。読んで良かった。小学生はどうなんだろう？