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ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯 叢書ビブリオムジカ
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ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯 叢書ビブリオムジカ

松原千振【著】

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ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯 叢書ビブリオムジカ

2,420

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 アルテスパブリッシング
発売年月日 2013/07/01
JAN 9784903951676

ジャン・シベリウス

¥2,420

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2016/02/10

 本書が出るまで、2000年刊、フットネンの『シベリウス──写真でたどる生涯』が最新のシベリウス評伝であったので大歓迎。著者はフィンランド留学歴のある合唱指揮者である。合唱、とりわけ男声合唱の分野でシベリウスの貢献は大きいのだそうだが、一般の音楽愛好家に馴染みの薄い男性合唱曲の話...

 本書が出るまで、2000年刊、フットネンの『シベリウス──写真でたどる生涯』が最新のシベリウス評伝であったので大歓迎。著者はフィンランド留学歴のある合唱指揮者である。合唱、とりわけ男声合唱の分野でシベリウスの貢献は大きいのだそうだが、一般の音楽愛好家に馴染みの薄い男性合唱曲の話ではたまらないというのは杞憂で、副題のとおり、交響曲とそれに準じた作品を中心に論じつつ、生涯を追っていくという構成になっている。  取り上げられる曲は、7つの交響曲と、作曲者自身も交響曲あるいはそれに準じたものと考えていた《クッレルヴォ》《レミンカイネン組曲》、加えて《フィンランディア》と《タピオラ》、そしてヴァイオリン協奏曲である。その間に簡潔に伝記的な記載が差し挟まれていく。  作品解説は時に文学的になり、おおむねCD解説程度で、あまり専門的な分析には入り込まない。『20世紀を語る音楽』にも紹介されている、ヘポコスキの「旋回形式」についての言及もなく、シベリウスの音楽の伝統性と革新性についての見通しが述べられていないのは著しく不満が残る。というのも伝記的事実についても、そもそもさほど劇的な展開のあるわけではないシベリウスであるから、本書全般に淡々と薄い感じが漂う。  どんな平坦な人生であれ、ひとの一生に入れ込んで記述するということは、そこから劇的な何かを取り出すことになるのではないかと思うのだが、本書ではそういう力動は希薄である。それがまたシベリウスらしいといえないこともないのだが。  他方、参考文献を見ると著者はフィンランド語にアクセスできるらしく、晩年の秘書レヴァスの手記などに由来する記述には他では読めないエピソードもある。とりわけ、娘たちの証言は興味深かった。また、本書の特徴は随所に著者の熟知した合唱音楽への言及があり、交響曲と交響詩だけではないシベリウスの創作の厚みを垣間見せてくれる。  装丁はとてもよい。それから人名索引と年譜、作品表は非常に充実しているので、シベリウス・ファンは必携であろう。

Posted by ブクログ

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