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知的障害者と自立 青年期・成人期におけるライフコースのために
3,300円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 生活書院 |
発売年月日 | 2013/12/27 |
JAN | 9784865000184 |
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知的障害者と自立
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知的障害者と自立
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個人的に勝手な抜粋 知的当事者の内面に障害者としてのアイデンティティが形成されるのは、自らの失敗経験などの直接的な経験に基づくものではなく、親からの「(あなたは障害者だから)できない」という圧力によるものであることを読み取ることができる。 知的当事者の意向は親、支援者にはわず...
個人的に勝手な抜粋 知的当事者の内面に障害者としてのアイデンティティが形成されるのは、自らの失敗経験などの直接的な経験に基づくものではなく、親からの「(あなたは障害者だから)できない」という圧力によるものであることを読み取ることができる。 知的当事者の意向は親、支援者にはわずかしか届いていない一方で、親、支援者からは当事者に強い影響がある。当事者は、社会からの影響を受けてダイレクトに自立観を内面化することはなく、親や支援者を通じて、社会が知的障害者に求める態度を取るようになる。当事者の生活世界は狭く、親と支援者がほぼ唯一の「関与者」であり、その影響力は強力だからである。知的障害者の場合、「成熟と加齢に関する標準的な文化的時間割」が存在していない。そのため、一般に、青年期以降のライフコースにおける次のステップである標準的出来事としての結婚や子の出生、その前提としての異性との関わりについては実現が困難な状況にあった。 この背景には、親や支援者が青年期・成人期の知的障害者のライフコースを認めてこなかったということのみならず、社会が認めてこなかったことがあげられる。たとえば、今日の出生前診断の隆盛をみれば、障害のある子どもを産むなという圧力と、それを受け入れ、障害のある子どもを産まなくて済むならそれに越したことはないというイデオロギーで満ちている。この立場を大多数とする社会状況を前提とするならば、知的障害者に人としての再生産が許されることはまずないだろう。 わが子は「社会では認められない」存在であると考えざるを得ないというのは、親自身が内発的にそのような思いに至ったと考えるよりも、社会の中でそのような思いに至らざるえない経験をしてきたのだと読み取ることができる。 従来の障害者の自立論は、知的障害者が「大人になる」ということを視野に入れてこなかった。知的障害者の自立の議論を、ライフコースのプロセスの中に位置づけることが必要になる。つまり、知的障害者の自立支援を、個別的な自立に焦点をあてたものではなく、若者が「大人になる」プロセスにおける私的、公共的、公式的な領域における指標を経るために必要な複合的サポートとして位置づけしなおさなければならない。ライフコースの視点は、そのことを明らかにし、問題を映し出す鏡であった。 親や支援者などの知的障害者にとって身近な「関与者たち」が知的障害者に関わる際に、その人を「大人になりゆく人」として捉えることである。これまで「関与者たち」が捉えてきた、その人の障害程度や発達段階に応じた関わりが必要であることは言うまでもないが、それに加えて、実際の暦年齢を考慮した際に、ライフコースの視点から、経験しうる出来事を「関与者たち」が排除していないか、顧みる必要がある。「関与者たち」の持つ視点の広がりが、知的障害者のライフコースを豊かなものにすることにつながると考えられる。 新たなライフコースの可能性のためには、このような関与者たちの理解を前提にして、まず、知的障害者の社会関係を広げることが重要である。 親が子の離家を積極的にとらえるインセンティブを与えることによって、子と距離を置くことができるようになることが望ましい。そのためには、親以外の他者が、「個人」としての知的障害者本人の支援にあたる仕組みを活用する必要があるだろう。限界はあるものの、現状では成年後見制度もそのひとつである。こういった制度の活用は、親役割を降りられるようにするための素地にもつながるものである。 一方、支援者は当事者のニーズをくみ取ると同時に、それを積極的に社会に発信するアドヴォカシーの役割も担うべきである。 留意しなければならないのは、親や支援者を介して社会とつながるのではなく、当事者自身が直接的に社会とつながるようなネットワークを持てるようにすることである。このように考えると、やはりライフコースにおける、他者との私的なインタラクションに基づく人間関係づくりという視点は欠かせない。 論文だから仕方がないのか文章が読みにくくスラスラと頭に入らない。第2章から第4章はほとんど流し読み。問題の捉え方・論考は参考になるとしてもさほどの新しいインパクトはない。そうか学者・評論家たちはあくまで「関与者たち」ではありえないわけか。そうであれば学者・評論家に期待したいのは少なくとも親・支援者に対する以上に、一般社会読者に向けて社会意識の変革への啓蒙を担ってほしい。
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