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聖夜 文春文庫
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聖夜 文春文庫

佐藤多佳子(著者)

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聖夜 文春文庫

517

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2013/12/04
JAN 9784167857028

聖夜

¥517

商品レビュー

3.6

18件のお客様レビュー

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2023/09/01

キリスト教系の高校なのかな、学校のオルガン部を舞台にした青春物語という感じ。この手の話は苦手なのだが、淡々とした主人公で、淡々とした語り口で、最後までスラーっと読めてよかった。

Posted by ブクログ

2022/08/03

信仰も何もない私だけど、教会やパイプオルガンが醸す静謐で糸の張ったような空気は、どこかにいるかもしれない神様へ思いを巡らせる。 母親の手紙の内容が気になった。

Posted by ブクログ

2022/07/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

信じられない神と、思い出したくない母。 けれども、どんなときにも、音楽は彼とともにあった。 『聖夜』 佐藤多佳子 (文春文庫) やっぱりいいな、佐藤多佳子さん。 今これを表現するにはこの言葉をおいて他にないぐらいの的確な言葉がスコーンと来る。 一行一行、一文字一文字の言葉の全部が心の中に入ってきて、あふれてこぼれそうだ。 School and Music シリーズ第二弾。 鳴海一哉は、ミッション系の高校に通う18歳。 家は教会で、父は牧師、母はオルガン奏者という環境に生まれ、小さな頃から神様やオルガンに触れて育った。 ところが一哉が10歳のとき、母がドイツ人のオルガン奏者と駆け落ちをして、家を出て行ってしまう。 家族は壊れ、母との思い出は、悪霊のように一哉を苦しめた。 神を信じなくなり、人と打ち解けず、母の罪を“神”を通して許そうとしている父に反発する。 これはキツイな。 親子の問題に神が介入してくるのか…… 物語はそんな一哉の一人称で語られていくのだ。 膨大なモノローグの洪水におぼれそうになる。 引きずり込まれて息が苦しくなる。 大人びてひねくれた少年のアドレッセンスの終盤。 無駄な寄り道以外の何ものでもない。 なのになぜ、こんなにも力強く真っ直ぐに、ぐんぐん道を進んでいるように見えてくるのだろう。 母がよく弾いていたメシアンという作曲家の曲を、一哉は文化祭のコンサートの演奏曲に選ぶ。 しかし彼にとってメシアンは、母の記憶と直結しており、不安と恐怖の象徴であり、彼言うところの開けてはならないドアでもあった。 文化祭の日、一哉はメシアンを弾かなかった。 コンサートを無断欠席したのだ。 友人の家でレコードを聴き、ロックバンドのライブに行き、その日、家へは帰らなかった。 一哉が好きなミュージシャンとして、ELPのキース・エマーソンの名前が出てくる。 この物語の時代は1980年なのだ。 私は中三だったな。 携帯もパソコンもない時代。 必要不必要にかかわらず情報があふれている今とは違って、好きなことを極めるにはそれなりの努力がいった時代。 不便だけど、誰も不便だとは思わなかった。 精いっぱい背伸びをして、外の世界を見ようとしていた。 一哉もそんな時代の少年なのだ。 クラスメイトの深井や、キーボーディストの笹本さんとの出会いが、一哉を変えていく。 オルガン部で弾いた初めてのパイプオルガンの音色や天野の演奏が、干からびた土に降る恵みの雨のように彼の心を潤し、まるでつぼみがふわりと開いたみたいに、彼の心を優しくした。 父の部屋で二人きりで話をするシーンがとてもよかった。 いつも正しい父が、ちょっとだけ揺らぐ。 読んでいてドキドキする。 子供が主役でありながら、大人の苦悩もきちんと手を抜かずに描かれていて、大人として、姿勢を正して物語と向き合おうという気持ちにさせられる。 父はいつも正しくて、神と家族の比重が同じで、でも母は、それを受け入れることができなかった。 祖母は、悪いことのできない父のことをかわいそうだという。 「あんなに完璧な父なのに、その完璧さをものともせず、祖母はさらに大きな愛で包み込んでいる。悪さのできない父さんがかわいそうだって?そんなこと誰が思う?そんなことを思う人は、この世に一人だ。彼の母親だけだ。父がうらやましい。あんな母親がいて。」 そして、これがすごかった。 「どんな女でもいい。お母さんにもう一度、会いたい。」 震えた。 これが一哉の裸の心なのだろう。 でも。 自分に母親がいないことと、父に母親がいることをなぜ同列に考えてしまうの? なぜただの父子の問題に、そんなややこしい感情が入り込まなくちゃいけないの? 父は、一哉あての母からの手紙をずっと隠していたことを告白し、一哉に手紙を託す。 一哉は、クリスマスコンサートでメシアンがきちんと弾けたら、母からの手紙を読もうと決めた。 お父さんの無垢な正しさが、その安定感が、本当は見えないところで、一哉を支えていたんじゃないかな。 ラストシーンはコンサートの前日練習。 オルガンと一体になる幸福感や神への感謝。 音楽は人を変えることができる。 いくら道をそれたって、やっぱり神様と音楽に見守られて、君は育ってきたんだね。 牧師として最後までブレることのなかった父、手紙の向こうで待っている母、ともに音楽を生み出すオルガン部の仲間たち。 最後はとても穏やかな優しい気持ちで読み終われる。 本番がうまくいきますように…… 祈りながら、本を閉じた。

Posted by ブクログ

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