商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2013/10/04 |
JAN | 9784087715279 |
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別れの挨拶
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商品レビュー
4
5件のお客様レビュー
丸谷才一、大いに語る。 文語体を読むリズムが自分の中で整うと、丸谷才一の文章を読むのは気持ちがいい。没後に出された雑文集ということで、一貫したテーマがあるわけではないが、それゆえに丸谷才一という人を表しているような気もする。
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丸谷才一最後の文集。いちいちなるほどと頷いたり、へえーと感心したり、思わずニンマリしたり、まさに極上のエッセーと批評文だ。こうした丸谷の「語り」をもう聞く事が出来ないのが残念でならない。
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丸谷才一の「最後の文集」。巻頭の「英国人はなぜ皇太子を小説に書かないか」が抜群に面白く、ああ、もうこういうのを読めないんだなあと思うと残念でならない。 「源氏物語」について、光源氏が主人公たり得るのは、帝の皇子で美男で母と死に別れて、といった要素が好都合なのはもちろんだが、「極...
丸谷才一の「最後の文集」。巻頭の「英国人はなぜ皇太子を小説に書かないか」が抜群に面白く、ああ、もうこういうのを読めないんだなあと思うと残念でならない。 「源氏物語」について、光源氏が主人公たり得るのは、帝の皇子で美男で母と死に別れて、といった要素が好都合なのはもちろんだが、「極めて高い水準の知的な人間」だったからだと述べられていて、これには納得。「知的」というのは作者がそういうことにしているからではなくて、物語の中の源氏がそういう人物として物を考え、苦悩するからであり、「知的な登場人物だからこそ、読者は彼の愚行にもついてゆくことができる」。これはまったくそうだと思う。 その点で英国王室は…、と話が続くわけだが、ここらへんは丸谷さんの独擅場だろう。東西の小説についてよく知っていて、それを社会のありようの中で位置づけることができて、ゴシップ的な興味にもしっかり応える洒脱な文章。まったく余人をもってかえがたいとはこういうことだろうと思う。 「完璧なマイナー・ポエット」と題された、芥川龍之介についての短い一篇にも深くうなずかされた。「彼は最初から完璧なマイナー・ポエットであることを目ざし、しかもそのことに成功した文学者だからである」というくだりに、そうか!と膝を打つ思いだった。 国語の教員だった頃、高一の教科書に必ずと言っていいくらい載っている「羅生門」が好きではなかった。何遍も何遍も授業でやるうちにうんざりして、イヤになったのだと思う。三年の教科書によく載る森鴎外の「舞姫」は、さしていいと思っていなかったのに、授業で読んでからどんどん惹きつけられていったのと対照的だった。「羅生門」はじっくりした読みにたえるだけの深みがないように思えて仕方がなかった。そう思い出すと、他の作品までちょっと気が利いているだけの薄っぺらいものに見えてきて、まったく芥川って評価されすぎなんじゃないの?あの写真が格好いいのと、若くて死んだもんだから、なぞと考えるようになったのだ。 しかしこれはまったく丸谷さんの言う「無いものねだり」にちがいない。彼の短篇は西欧人に好まれるそうだ。芥川の小説を、理知的で豊かな教養と典雅な趣味に彩られた「マイナー・ポエットの小品」として楽しむという贅沢は、「将来の読者のために残されているような気がする」と丸谷さんは書いている。久しぶりに芥川が読みたくなった。
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