極悪鳥になる夢を見る 貴志祐介エッセイ集

貴志祐介【著】

• 販売会社／発売会社: 青土社
• 発売年月日: 2013/09/26
• JAN: 9784791767205

商品レビュー

2024/03/25

美術作品について、ホラー作家の視点を借りて見ると見え方が全く違って面白かった。
中でも能面の「馬頭」についての考察がぞわっとして好きだった。所蔵されている近くに住んでいたこともあって尚更。
売れるかどうかはさておき、このテーマでアメリカのB級パニック映画作れそう。

2023/07/22

筆者自身は文章の出来に納得していないようだが、やはり作家は感受性豊かなのだと感じた。
作品を面白いか面白くないかでしか評価できない私にとっては、彼が子供の頃にクリスティーの文章から読み取れる彼女の人間性が嫌になって読まなくなったというエピソードからは、子供ながらに彼にはしっかりとした軸があったのだと感心した。

また、川下りやタイガースの応援などの情景はそっくりそのまま伝わってくるような描写だった。
私は彼の書く情景描写の美しさが好きなので、やはり貴志祐介は素晴らしいと惚れ直した。

絵画への感想のパートがあったのもよかった。
何か闇を感じさせる絵画に対して事実かどうかを差し置いて感想を述べているのだが、普段絵には興味がない私も関心を持ち、作者のことを調べたりするまでのめり込めたのは、それらの絵画が貴志祐介が書く小説の雰囲気と似たものを持っていたからかもしれない。

2020/11/19

『青の炎』『新世界より』『悪の教典』…緻密な作品群を生みだし続ける知性の意外な素顔。待望の第1エッセイ集。（アマゾン紹介文）

紹介文の代表作を一冊も読んでいないとは…。
自分にとっての著者は、『黒い家』『クリムゾンの迷宮』『天使の囀り』のホラー作家。『雀蜂』は、うん、まぁ…。
作風から、エッセイもしっかりとした私小説風かと想像していたら、思いのほかお茶目で、随分と楽しめた。「最初で最後～」と書かれているが、是非第二弾第三弾と続けてほしい。