商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 言視舎 |
発売年月日 | 2013/06/14 |
JAN | 9784905369622 |
- 書籍
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石原吉郎
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石原吉郎
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「私が理想とする世界とは、すべての人が苦行者のように、重い憂愁と忍苦の表情を浮かべている世界である。それ以外の世界は、私にはゆるすことのできないものである。」 石原吉郎は、1915年静岡県生まれの詩人(1977年没)。 辺見庸さんの著作でその存在を知って興味を持ち、「石原吉郎詩文...
「私が理想とする世界とは、すべての人が苦行者のように、重い憂愁と忍苦の表情を浮かべている世界である。それ以外の世界は、私にはゆるすことのできないものである。」 石原吉郎は、1915年静岡県生まれの詩人(1977年没)。 辺見庸さんの著作でその存在を知って興味を持ち、「石原吉郎詩文集」(講談社文芸文庫)を10年ほど前です。 敗戦後、ソ連の強制収容所で8年間もの歳月を過ごすという過酷な経験をしました。 詩文集に当時の体験を苦悶しつつつづった「望郷と海」というエッセーが載っていて、私は身体と精神のあらゆる痛覚をとことん痛めつけられながら読みました。 冒頭に引用したのは、やはり詩文集に掲載されている「一九五六年から一九五八年までのノートから」から。 詩文集で、私が最も胸を撃たれた個所です。 俄かに肯んじることのできない「世界」ですが、不思議に心を惹きつけてやまない魅力があると感じたのです。 石原は、その「世界」が理想と述べるだけにとどまりません。 「それ以外の世界」を「ゆるすことのできないもの」と決然と言い放ちます。 ここに8年間の過酷な収容所生活を送った石原の痛み、さらには終生、存在不安に悩まされた石原の根源的な痛みがにじみ出ています。 修辞では決してない、重量感のある緊密な言葉の連なりは、いまも私を捉えて離しません。 前置きが長くなりました。 本書は、評論家・勢古浩爾さんの著した「石原吉郎論」。 岩見沢在住の詩人の女性から借りました。 先日、本業であるところの新聞記者として彼女の自宅に取材に赴いた折、「石原ファン」ということで意気投合。 「それなら、これは読んだことはあるか?」と彼女が書斎から持ってきたのが本書です。 「返すのはいつでもいいからぜひ読んで」 というわけで先ほど、読了しました。 勢古さんも「望郷と海」で、「心をわしづかみにされた。」そう。 「『ここにおれとおなじような人間がいる』と思ったのだった。むろん、時代がちがう。出自がちがう。年齢がちがう。体験の質と量がちがう。が、孤独が似、自己愛と自己嫌悪が似、人間への反感が似、痛々しさが似ている、と思われたのだ。」 勢古さんと同様、私も詩からではなく、散文から石原の読者となりました。 苛烈と言えば、あまりに苛烈すぎる石原の言葉の数々から、稀有な詩人を「再発見」する本書。 いろいろ書きたいことはありますが、思いが強すぎて、うまく頭の中でまとまりません。
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