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二階堂家の兄嫁 双葉文庫
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二階堂家の兄嫁 双葉文庫

葉月奏太【著】

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二階堂家の兄嫁 双葉文庫

680

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 双葉社
発売年月日 2013/03/15
JAN 9784575515718

二階堂家の兄嫁

¥680

商品レビュー

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2013/05/01

欲深きオンナの性を描こうとの気概を感じる耽美な作風

わざわざ「二階堂家」と、それらしい家名をタイトルに冠し、次期当主と見込まれた兄の死、その後をイメージさせる兄嫁の艶やかな喪服姿をカバーイラストに配する時点で本作のテイストは充分に示唆されている。少々陰のある湿り気を宿した淫靡な雰囲気が地方の旧家に漂い蠢く作品である。 第一章...

わざわざ「二階堂家」と、それらしい家名をタイトルに冠し、次期当主と見込まれた兄の死、その後をイメージさせる兄嫁の艶やかな喪服姿をカバーイラストに配する時点で本作のテイストは充分に示唆されている。少々陰のある湿り気を宿した淫靡な雰囲気が地方の旧家に漂い蠢く作品である。 第一章から本作が典型的な誘惑系官能小説ではないことがはっきりと分かる。ここ最近の竹書房ラブロマン文庫でも見られ、双葉文庫にも飛び火したかと思わせるようなヒロインの寝とられ的描写が序盤から登場する。俗に言われる『一竿』ではない訳だが、被虐の側面を盛り込む刺激という面では(好みは別として)やはり効果的なのであろう。これを目撃した主人公(義弟)が悶々とした日々を帰省した地元で過ごしていく中で兄嫁との距離を縮めていくのが物語の本線である。 しかし、この兄嫁の言動がなかなかに不可解。後には無自覚な小悪魔的本性の発露と受け取れるのだが、同時に奥ゆかしい態度も内包しているため、すぐにそれと気づかない面がある。謙虚と言えばそれまでだが、主人公が基本的にネガティヴなこともあり、少しばかり婉曲に過ぎた表現との印象を受ける可能性もある。 また、第二章から第四章にかけては旧知の従姉妹や憧れだった初恋の女教師、あるいは『はじらいの田園』(著:橘真児、竹書房ラブロマン文庫)に出てきたような活発オモシロ令嬢といったサブヒロイン達が次々と出てきては官能的にも華を添えているが、最後に主人公の背中を押すことになる令嬢はともかく、後の2人は設定というか過去の背景としての関連性はあるものの、どちらかと言うともっと兄嫁の心の機微みたいなもの、あるいは兄嫁の心の移り変わりみたいなものに頁を割くか、もしくは第一章で別の方向に突出した兄嫁の、その後のバランスを調整するような役割をサブヒロイン達にも今少し与えた方が良かったのかもしれない。 最終的に話としては綺麗に収まっているが、見方を変えれば、あの状態で兄嫁を置いておくのは危険じゃない?元の木阿弥にならない?といったことも想像できるため、結果的に兄嫁の魔性的存在感(やはり本人は無自覚)が最後に改めて浮き彫りになっているようにも受け取れる読後感である。

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