商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 幻冬舎 |
発売年月日 | 2012/10/26 |
JAN | 9784344022690 |
- 書籍
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時限の幻
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時限の幻
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戦国時代末期の奥州を舞台に「会津の執権」と呼ばれた金上盛備と独眼竜・伊達政宗の二人を主人公とした歴史小説である。伊達政宗は戦国ファンならば説明不要の有名人である。金上盛備は会津蘆名氏の家老である。歴史ファンであっても戦国のヒーロー伊達政宗に潰される障害の一つという程度の認識が一般...
戦国時代末期の奥州を舞台に「会津の執権」と呼ばれた金上盛備と独眼竜・伊達政宗の二人を主人公とした歴史小説である。伊達政宗は戦国ファンならば説明不要の有名人である。金上盛備は会津蘆名氏の家老である。歴史ファンであっても戦国のヒーロー伊達政宗に潰される障害の一つという程度の認識が一般的である。その蘆名の視点の物語という点で先ず新鮮である。 奇しくも福島第一原発事故からの復興が社会的なテーマとなっている。大河ドラマも会津を舞台とした『八重の桜』が放送される。福島の復興を応援する立場としても、会津視点の歴史小説は楽しめる。著者もブログで「震災と事故で多分に実害を受け、また風評被害を受けて人の見る目が変わってしまった福島、会津も、いつか清々しい輝きを取り戻してくれる、という期待を込めてこの物語を送り出したい」と述べている(「永青の日々雑感」2012年10月13日)。 金上盛備の知名度は低いが、織田信長や豊臣秀吉との対面シーンやダブル主人公の伊達政宗を視点人物としたパートと半々にすることで、会津蘆名家に思い入れのない読者でも楽しめる。伊達家や蘆名家に起きたことのほとんどが相手方による陰謀として描かれている。政宗が奥州の覇者になった過程に新鮮な視点を提供する。 伊達政宗は一代で奥州の覇者となった「暴れん坊」として知られている。しかし、周辺の大名の視点で見ると政宗以前から伊達は強国であった。戦国大名は個人の才覚が強調されがちであるが、織田信長にしても武田信玄にしても父親の代からの蓄積を活かした面がある。伊達政宗にも同様な側面があることが理解できる。 金上盛備は伊達政宗の好敵手に相応しい知謀の武将である。政宗とは一進一退の攻防を繰り広げ、天下人の信長や秀吉とも渡り合った。しかし、人心掌握の点では問題がある。蘆名の有力家臣から反発や離反が相次ぐが、自業自得の側面がある。 盛備は最も忠実な味方になるべき相手にも真相を隠した。真相を知らされない家臣が疑念を抱くことは当然である。結果オーライで済まされるほど世の中は甘くない。また、敵に回してはならない親しくない相手に興奮して暴言を吐き、離反される。暴言を吐いた側は「一時の興奮による言葉で、深い悪意がある訳ではない」と軽く考えがちであるが、吐かれた側は根に持つものである。相手を尊重する配慮がなければリーダーの資格はない。 最後の摺上原の戦い直前で盛備も反省するが、「説明しなくても分かってくれるだろう」という基本的に古いタイプの人間である。新世代の政宗に滅ぼされることは歴史の必然と思えてくる。敗者の歴史を描きながらも、敗者を過度に美化しない歴史小説であった。
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蘆名と伊達、佐竹、最上らの戦国時代の奥州の争いを蘆名の重臣金上盛備と伊達政宗らの視点で描く。 血縁により、謀略が入り乱れているなか、意地でも蘆名氏を存続させようとした金上盛備。なかなかに味わい深い。
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2018.6.2完了 言葉は悪いがこんなマイナーな人たちをよくおさえていると思う。 文章も読みやすかったし、面白かったといえる。 蘆名盛氏がいかに偉大だったかが窺える。 四天王が脆弱であったかもよく表現されている。 よい。
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