商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2012/10/26 |
JAN | 9784000258654 |
- 書籍
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蒋介石の外交戦略と日中戦争
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蒋介石の外交戦略と日中戦争
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これまで日中戦争というと、蒋介石は戦わず、共産党の一人勝ちという見方が強かったような気がする。しかし、1931年の満州事変のあとも、留日留学生の数が史上最大になる年もあったし、中国語教科書もたくさんつくられている。中国がすべて抗日だとしたら、どうしてこんなことが起こるのか、これま...
これまで日中戦争というと、蒋介石は戦わず、共産党の一人勝ちという見方が強かったような気がする。しかし、1931年の満州事変のあとも、留日留学生の数が史上最大になる年もあったし、中国語教科書もたくさんつくられている。中国がすべて抗日だとしたら、どうしてこんなことが起こるのか、これまで疑問だった。それは、日中戦争を多面的にとらえていなかったからである。国民党や国民党の軍隊の果たして役割を評価していなかったからである。日本は占領した都市に親日政権を打ち立てていったが、それは中国の領土の半分近くにもなっていたほどである。それは、中国が日本の侵略にもかかわらず和平への道を模索していたからである。さらに、大きな原因の一つは、本書のように、日中戦争時、蒋介石がなにを考え行動したかが、戦後ほとんど問題にされなかったからである。戦後蒋介石が「以德報怨」ということばで、日本から賠償を要求しなかったことはよく知られていて、それに恩義を感じる日本人も古い世代には多いが、ぼくたちの世代はそれをまともには見ていなかった。しかし、蒋介石は終始、日本の人民には同情的で、日本と中国で東亜の新秩序を打ち立てようとしていたのである。それは、わざわざ爆撃機に宣伝ビラを積ませ、九州にまかせに行ったりしていることからもわかる。蒋介石は、外交は無形の戦争と考え、国際とりわけ英米の同情を取り付けようと努力した。それは、日本とまともに戦っては勝てないという自覚があったからで、日ソ戦、日米戦の開始を期待していた。つまり、第二次世界大戦の中に日中戦争を位置づけようとしていたのである。そして、戦力を温存するために、南京を死守せず、日本軍の行く手を阻むために黄河を人為的に決壊したりもしている。そのことで逆に各国の注意を引き、日本の侵略をうったえようとしたのである。さらには、戦後において中国が国連での常任理事国の地位を得たのも蒋介石ぬきでは語れないのである。本書は新たに公開された蒋介石の日記や擋案資料を丹念に読み解いていった成果である。一つ注文をつければ、国民党は軍事的にどのように日中戦争を展開したのかももっと知りたかった。
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