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場のまちづくりの理論 現代都市計画批判
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本経済評論社 |
発売年月日 | 2012/06/25 |
JAN | 9784818822191 |
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場のまちづくりの理論
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岩見良太郎『場のまちづくりの理論 現代都市計画批判』(日本経済評論社、2012年)は都市計画の研究者による研究書である。現代日本の都市計画は人々に豊かな暮らしをもたらしていない。この問題意識から「場」をキーワードとして、豊かな活動、生き甲斐のステージとしてのまちづくりを提起する。...
岩見良太郎『場のまちづくりの理論 現代都市計画批判』(日本経済評論社、2012年)は都市計画の研究者による研究書である。現代日本の都市計画は人々に豊かな暮らしをもたらしていない。この問題意識から「場」をキーワードとして、豊かな活動、生き甲斐のステージとしてのまちづくりを提起する。 『場』についての哲学的な文章が続くために表面的には難解であるが、主張は明快である。著者は二子玉川ライズ住民訴訟で証言するなど活動的な研究者である。『場のまちづくりの理論』の場とは単なる場所ではなく、街は単なる建物の集合を意味しない。人々の生活や交流の場である。縁のある場ということに意味がある。 しかしながら、現代日本の都市計画は開発業者の金儲けのために場を破壊する方向に利用されている。その典型例として東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)などを取り上げる。二子玉川ライズに対する著者の批判は厳しい。これらは二子玉川ライズの実態を正確に描写するものである(林田力『二子玉川ライズ反対運動』)。 「土地の高度利用の追究で、緑地・オープンスペースはきわめて貧困なものとなり、また、局地的にそれをおこなったため、周辺地域に機能障害・環境破壊をもたらすものとなっている」(144頁) 「本事業で設けられた巨大な人工地盤は、周辺地域との連続性を心理的にも、物的にも希薄にし、周辺から隔離した孤立的環境をつくりあげた。これは、再開発地域内の住民と周辺住民が一体となって、新たなコミュニティを創り出すという可能性を奪うものである」(146頁) 「東急の大商業ビルが、その吸引力によって『地域社会の活性化』をもたらすと強弁するかもしれないが―むしろ、その逆の可能性の方が大きい―自らの利益追求のために建設したにすぎない」(146頁) 場を破壊する行政や開発業者に対し、場を守り、発展させる活動が開発反対の住民運動である。反対運動に対しては判で押したように「反対のための反対で生産的ではない」とのステレオタイプな批判が出てくる。これに対して『場のまちづくりの理論』は反対運動に積極的な意味を見いだす。住民が主体的に活動する反対運動が地域の縁を強め、場を活性化させる。 既存の生活を場や縁という価値で理論化する『場のまちづくりの理論』の視点は住民運動に希望を与える。開発推進派は開発による経済発展というドグマを押し付けてくる。このドグマは不動産不況の中でメッキが剥がれてきているが、まだまだ強固である。反対運動にもドグマの前提を無意識的に受け入れてしまい、自然保護という対抗価値に頼る傾向がある。 開発による経済利益よりも自然に価値があるという思想は正しい。反対運動が守るべき街は世界自然遺産のようなものではなく、多かれ少なかれ自然を破壊しているものである。逆に開発推進派からは木造密集地域を再開発して超高層ビルを建設し、オープンスペースを作ることが緑化になると反転攻勢にも使われる。自然保護は重要なキーワードであるが、自然保護一辺倒では行き詰る。 「木造密集地域に価値がある」と胸を張って主張できなければならない。その価値を『場のまちづくりの理論』は示すものである。『場のまちづくりの理論』の指摘はバブル経済崩壊後の新たな指針となるべきであったが、東日本大震災後は一層重要になる。(林田力)
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