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粛清
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粛清

ソフィオクサネン【著】, 上野元美【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2012/02/10
JAN 9784152092724

粛清

¥2,530

商品レビュー

4.4

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2019/12/15

すごい本だねえ。エストニアという国が舞台。田舎で老女が一人で住んでる。行きだおれみたいな若い女が庭で倒れてる。仕方なく介抱する。それでなくとも近所の嫌がらせはいまだに止まないのに、面倒なことはごめんこうむる。嫌がらせはかつてソ連時代に共産員と生き延びるために結婚し、近所に嫌な思い...

すごい本だねえ。エストニアという国が舞台。田舎で老女が一人で住んでる。行きだおれみたいな若い女が庭で倒れてる。仕方なく介抱する。それでなくとも近所の嫌がらせはいまだに止まないのに、面倒なことはごめんこうむる。嫌がらせはかつてソ連時代に共産員と生き延びるために結婚し、近所に嫌な思いをさせていたからなのだった。そもそも思想はないのに、その行動をさせた彼女のエゴ。時代に蹂躙されてきたエストニアという国を女性の生き方を通じて世界41ヶ国に発信。フィンランドの人だけどな。まだまだ知らなければならないことがある。

Posted by ブクログ

2014/07/13

兵士の長靴の下で、それでも私は生きる。 エストニアの小村で独り暮らす老女アリーダは、ある日自宅の前で倒れている若い女を見つけ、ザラと名乗るその女を家に置くことになる。アリーダには、かつてソ連占領下のエストニアで共産党の活動家の妻として暮らしながら、初恋の人であり、反政府地下組...

兵士の長靴の下で、それでも私は生きる。 エストニアの小村で独り暮らす老女アリーダは、ある日自宅の前で倒れている若い女を見つけ、ザラと名乗るその女を家に置くことになる。アリーダには、かつてソ連占領下のエストニアで共産党の活動家の妻として暮らしながら、初恋の人であり、反政府地下組織のメンバーとして追われる身である姉の夫、ハンス・ペックを匿うという秘密があった。ザラの存在は奇しくもアリーダが生涯抱え続けた秘密につながっていく。 本書はバルト海に面してたびたびソ連やナチスドイツといった大国に運命を翻弄されたエストニアを舞台に、その占領下で虐げられつつも強く生きた女の物語です。 アリーダの心象風景なのか文中度々現れる、彼女たちの生活空間に当たり前に存在していたと思われる蝿や、共産党による粛清のアレゴリーとも思える男たちの長靴(ちょうか)で描写されるこの小説世界は極東の戦後生まれの自分などには到底想像をし得ないものです。 この小説が「北欧の文学的レディー・ガガ」と呼ばれる37歳の女性作家の手によるものというのは大変な驚きでもありました。フィンランド人を父にエストニア人を母に持つ著者が、自身のルーツに繋がるエストニアの辿ってきた軌跡に強い関心とある種の愛情を以って書かれた作品であることが伝わってきます。 自分の人生さえままにならないソ連の圧政下で、アリーダがただ一つ決して手放そうとしなかったものが、匿っていた義兄ハンスへの執着でした。姉のインゲルとその娘リンダが、反政府主義者の家族としてシベリアに強制移住させられてもなお、彼女は夫と娘の住む家、食器棚の向こうの隠し部屋に彼を匿い続けたのです。 兵士から加えられる恥辱に耐え、生きるために共産党の活動家と結婚し、人から疎まれる仕事をこなす。危険を冒して彼を自由にしようとした彼女の思いはしかし、報われることはありません。少女の頃から持ち続けてきた義兄への想いは、当然ながらハンスには受け入れられるものでは無かったからです。 ザラとの関係が全て明らかになり、アリーダがすべきことを終えた末にその思いをとげるためにとった行動には、だから胸をしめつけられるのですが、隠し部屋で書き続けられたハンスの手記、そこに残された一文は、アリーダの切ない思いに最後まで追い打ちをかけるものでした。 「まだ自由の身ではないが、まもなく自由だ。俺の心は、燕のように軽い。 家族三人一緒になれるのももうすぐだ」

Posted by ブクログ

2014/03/14

エストニアの農村、美しい森に接した古い農家で孤独に暮らす老いた農婦アリーダのもとに、ある日、年若いロシア人の女が逃げ込んでくる。見知らぬ相手を警戒しながらも、近しいものを覚え、手をさしのべながらも疑い、ふと激しい憎しみの感情さえ覚えるアリーダ。それは、この娘が、長年忘れようとして...

エストニアの農村、美しい森に接した古い農家で孤独に暮らす老いた農婦アリーダのもとに、ある日、年若いロシア人の女が逃げ込んでくる。見知らぬ相手を警戒しながらも、近しいものを覚え、手をさしのべながらも疑い、ふと激しい憎しみの感情さえ覚えるアリーダ。それは、この娘が、長年忘れようとしてきた恐怖の匂いを発散していたからだ。暴力に虐げられてきた女が放つ特有の匂い。同じ経験をもつ者には嗅ぎとれるそれは、否応なしにアリーダの身体にも浸透して、心の奥底にしまいこんできた過去の恐怖と秘密をひきずりだしてしまう。 エストニアは、第2次世界大戦中の1940年にソ連に占領され、翌1941年にはドイツが占領、ドイツが敗戦するとふたたびソ連に併合された。ソ連による支配下で、独立ゲリラ闘争に参加した者たちをはじめ、多くの人々が粛清され、シベリアに送られたという。エストニア人の母をもつ若い書き手によるこの小説は、ソ連の支配が、女たちの身にどのような暴力となってふりかかったのか、身体に深く刻まれた恐怖が、世代を超えて、娘たちにまでどのように引き継がれたのかを、ふたりの女の緊張に満ちたやりとりを通して描き出した。 恐怖と恥辱に捕らえられてしまったために、必死の思いで「安全」を求め、愛する人を裏切り傷つけることになってしまったアリーダの人生は、ときに読み続けるのが辛くなるほど。それは、ザラのように、今この時にも同じように虐げられ苦しんでいる女たちがいるからだ。 ふたたび守るべき者を家に迎え入れることになったアリーダのもとには、恐怖もふたたび訪れる。だが、今回は彼女は同じ行動はとらない。 男の暴力にたちむかう「女同士の絆の物語」という美しい図式にあてはめるには、踏みにじられてきた女ふたりの関係は、あまりにも緊張をはらみ、疑念と怒りと恐怖に翻弄されている。だが、アリーダがザラをたしかに自分の身内だと認めるのは、同じ恐怖をわかちあっていることだけが理由ではなく、同じ生活への愛の痕跡を認めたからであった。アリーダが手元において育てた実の娘にはついに伝えることのできなかった、植物の名前、薬味や薬草の使い方、冬を越すための保存食のつくりかた。それは、アリーダが愛しながら憎み裏切った姉が、壊されてしまった娘を超えて孫娘に伝えた、美しい森に接した女たちの生活の記憶だった。いま恐怖から解放されて、眠りにつこうとするアリーダを包む家と森の匂いが嗅ぎとれるようなラストシーン。 最後の公文書のパートの効果にはやや首を傾げるが、深い歴史的洞察と筆力を示す、忘れがたい小説。

Posted by ブクログ

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