読めなくても、書けなくても、勉強したい ディスレクシアのオレなりの読み書き

井上智, 井上賞子【著】

• 販売会社／発売会社: ぶどう社
• 発売年月日: 2012/01/30
• JAN: 9784892402128

商品レビュー

2025/02/06

2025年が始まってまだ2ヶ月。でも「今年一番の本は？」と聞かれたらこの本を選ぶかもしれない。それほど強く心に残った一冊。

ディスクレシア、という言葉や意味はもちろん知っていた。けれど当事者の声を聞いたのは初めてだった。知識として知っているだけで、私の想像など到底及ばない苦労やつらい経験が綴られていた。

学校を卒業して社会に出ても、読み書きは否応なしについてまわる。どれだけ仕事ができても、「こんなこともできないのか」と馬鹿にされる。

頭の良い人だったからこそ、分かるのに文字にできない悔しさ。どうせ無理だからとあきらめてきた事の数々。

40歳で偶然ディスクレシアを知り、自分だけじゃないんだと涙した著者。それまで妻は夫がディスクレシアだとは気づかなかったそう。

その後、人前で自分の体験を話す機会があり、最後に「僕は、勉強したかったです。すっごい勉強したかった…。机ひっくり返してるときでも、本当は先生の話が聞きたかった…」と絞り出すように言った著者。

涙が止まらなかった。

今思えば、自分の身近にもディスクレシアではないかと疑われる人がいる。その人が今までとてもつらい思いをしてきたかもしれないのに、自分は、心無い一言を言ったり、笑ったりしていなかっただろうか。

自分には想像もつかないディスクレシアの方の苦労や思いを知ることができた。1時間ほどで一気読みできるので、多くの人に読んでもらいたい一冊。

2024/11/06

ディスレクシアと知らずに過ごした子ども時代、なぜ書けないのかなぜ読めないのか自分も分からない、でも学びたい、周囲の無理解から悔しい思い、辛い思い、そこから自暴自棄になった経緯、読んでいて本当に胸が締め付けられる思いがし涙が出た。
ディスレクシアだと分かっていれば、教育サポートがあれば、理解者がいれば、サトシ少年は救われただろう。
当事者の体験を綴っていただき、ディスレクシアについてより深く知ることができた。
昔よりはディスレクシアについての認識は広がってきてると思うが、まだまだサポートや支援につながらず苦しんでいる子もいると思う。ぜひ、学校の先生に読んでいただきたい。

2019/11/19

「オレ、暴れたくなんかなかった。本当は勉強したかった」「読めなくても、書けなくても、勉強したかったのに……」

著者でディスレクシア当事者の方の言葉の重み。