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ロマンに生きてもいいじゃないか メキシコ古代文明に魅せられて
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ロマンに生きてもいいじゃないか メキシコ古代文明に魅せられて

杉山三郎【著】

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ロマンに生きてもいいじゃないか メキシコ古代文明に魅せられて

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 風媒社
発売年月日 2012/01/18
JAN 9784833105552

ロマンに生きてもいいじゃないか

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2024/03/11

「四大文明なんてウソっぱちです。」マスターキートンが言っていた。つまり文明の発祥はまず4つの地域で起こったというのは間違いで、世界中に散らばった人類がそれぞれの地域の地形、気候、他民族との位置関係などの様々な要因を背景に、速度は違えども文明の発達を多発的に並行して進行させたという...

「四大文明なんてウソっぱちです。」マスターキートンが言っていた。つまり文明の発祥はまず4つの地域で起こったというのは間違いで、世界中に散らばった人類がそれぞれの地域の地形、気候、他民族との位置関係などの様々な要因を背景に、速度は違えども文明の発達を多発的に並行して進行させたというのが実態のようだ。 (P112)「たとえば現代文明の形成に関しても、かつてはヨーロッパ中心思考が幅をきかせていた。その基盤にはローマ帝国、ギリシャがあり、それ以前はメソポタミアやエジプトなど旧大陸の四大文明からという文明の起源に関する理論があるが、今では実際の社会発展はより複雑で世界的規模で同時進行しているという認識が強くなっている。文明は、新大陸も含めて世界のいろいろなところに拡散した人たちが、異なった環境に適応し、多様に発展させてきたものである。」 そうなると私には疑問がわく。テオティワカンで見られる一見ピラミッドのような巨大建造物を築造するような文明が、なぜエジプトなどとの交流が一切ない新大陸でも発生し得たのか?そしてもう1つの疑問。テオティワカンはナイル川のような大河流域にない。なのになぜ同様の文明を生じ得たのか? 私が大阪の国立国際美術館で「特別展 古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン」を見た後、その思いはより強くなった。「もしかしたら地球外生物が古代メキシコの地に降り立ち地球に定着したのでは?」という非現実的で“ムー”に載っている記事のような説を信じたくなるのもわからないでもない。 「ロマン」という言葉はそういう空想をも許容しうる概念だが、著者の杉山三郎さんはそっち方面に関する論考は全くしていない。むしろ正反対。つまり「ロマン」と言いながら杉山先生が追求するのは徹底したリアリズムだ。残された遺構が現代人に語りかける微弱で消え入りそうな音声を鋭敏な感覚をもって正確に聞き出そうとするという、気の遠くなるような作業。まさにジグソーパズルのピースを、完成見本や設計図が一切ないなかで1つ1つはめていくような忍耐力との勝負とも言える。 実際、テオティワカン遺構では、なぜそれが作製されたのかの見当がつかないものがまだ圧倒的に多く、特別展での出土品の説明文でも「……だろうか。」という疑問形で終わっているものが多かった。そういうふうに現時点ではまだまだベールに覆われた謎だらけの文明なのだ。 私なんかは、答えが明確に出てこない研究は性格的に耐えられそうにない。しかし、ゴールがいつまでも見えない長距離走を杉山先生はむしろ楽しんでいるかのように思えた。この「楽しむ」というのは、生涯をかけた仕事においてはとても大切だとこの本の読後に思いを強くした。さらに杉山先生は、自分の研究において達成できた成果と併せ、達成できそうにない限界を正確に把握しているのもすごいと思った。だからあやふやな言い方はない。推測できるものはこうだろうと言い切り、限界の領域については「わからない」と明言する。その姿勢が杉山先生をオリジナリティとして光らせていると感じた。 最後に一点、素人ながら私にもテオティワカンに関してロマンや想像から思いついたことを書かせて欲しい。特別展では、パンフレットにも写真で採用されている「死のディスク石彫」の展示がやはり目を引いた。会場の説明文では「舌を出す頭蓋骨の周囲に、放射状のモチーフを配する。鼻には穴が開き、ナイフを差したとみられる。メソアメリカでは日没は死、日の出は再生を意味するとされた。西に沈んだ(死んだ)太陽を表すものか。」とある(ここでも疑問形が使われている)。 この石彫を見て、私の頭にあることが浮んだ。「これは、当時のテオティワカン人が、交易で得られた黒曜石で(小学生が理科の実験でするように)太陽を透かし見ると、太陽の表面の模様がベロを出した人の顔のように見えて、それをモチーフにしているのでは?」 「ジョジョの奇妙な冒険」で、サンタナを倒すべく立ち向かったジョセフ・ジョースターの背景に描かれたのは、太陽の中に見える髑髏だった。それと同じものを古代テオティワカン人は実際に見ていたのかもしれない。

Posted by ブクログ

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