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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 医学書院 |
発売年月日 | 2011/12/01 |
JAN | 9784260013864 |
- 書籍
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症例から学ぶ和漢診療学 第3版
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症例から学ぶ和漢診療学 第3版
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商品レビュー
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『症例から学ぶ和漢診療学』は、漢方医学の実践的理解への扉を開く、驚くべき一冊です。著者の寺澤捷年先生は、現代医学と漢方医学の両方に精通した医師として、長年にわたって富山医科薬科大学で教鞭を執られてきました。この本は、その豊富な臨床経験と教育経験から生まれた、漢方医学の真髄を伝える珠玉の書といえるでしょう。 本書の最大の特徴は、「証」という漢方医学独特の概念を、具体的な症例を通じて理解できるように組み立てられている点です。「証」とは、患者さんの体質や症状の本質的なパターンを見抜く診断概念なのですが、これは単なる理論として説明されるのではなく、実際の患者さんの物語を通じて、生き生きと描き出されています。例えば、同じ「頭痛」でも、その人の体格、顔色、舌の状態、脈の様子などを総合的に見ることで、まったく異なる「証」として捉えられ、それぞれに適した処方が選ばれていく過程が、丁寧に解説されているのです。 特に印象的なのは、漢方医学の診察方法である「四診」(望診、聞診、問診、切診)が、現代医学の診察と見事に融合されている様子です。例えば、血液検査やレントゲン検査といった現代医学の客観的データと、患者さんの舌の状態や腹部の張りといった漢方医学的な所見が、総合的に解釈されていきます。これは、伝統医学と現代医学が互いに補完し合える可能性を示す、貴重な実例といえるでしょう。 本書は、漢方薬の処方を単なるレシピとしてではなく、その背後にある思考プロセスとして示している点も素晴らしいと思います。例えば、有名な漢方薬である「葛根湯」が処方される場合でも、単に「風邪に効く」という表面的な理解ではなく、その患者さんの体質や症状の現れ方に応じて、なぜその処方が選ばれたのかが、詳しく解説されています。これは、漢方医学が持つ「個の医療」としての特徴を、実践的に理解する上で非常に有益です。 また、本書は漢方医学の基本的な考え方である「陰陽」や「虚実」といった概念を、難しい理論としてではなく、日常的な臨床現場での具体例を通じて説明している点も特筆に値します。例えば、「虚証」の患者さんと「実証」の患者さんでは、同じ症状でも治療アプローチが大きく異なることが、実際の症例を通じて明確に示されています。 本書の意義は、単に漢方医学の知識を伝えることにとどまりません。それは、医療における「全人的なアプローチ」の重要性を、具体的な形で示してくれているのです。現代医学が得意とする局所的・分析的なアプローチと、漢方医学が得意とする全体的・統合的なアプローチが、どのように補完し合えるのかを、実践的に学ぶことができます。 しかし、この本の本当の価値は、著者の寺澤先生が持つ深い人間理解と、患者さんへの温かいまなざしにあると私は感じています。各症例の記述からは、病気を単なる症状の集合としてではなく、その人の人生の文脈の中で理解しようとする姿勢が伝わってきます。これは、現代の医療に携わる全ての人々にとって、貴重な示唆を与えてくれるものではないでしょうか。 『症例から学ぶ和漢診療学』は、漢方医学を学ぶ人はもちろん、現代医療に携わる全ての人々、そして医療の本質に興味を持つ一般の読者にとっても、大きな示唆を与えてくれる一冊だと確信しています。それは、医療の新しい可能性を、具体的な形で示してくれる道しるべとなるはずです。
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「証」というものについて、 非常に、まとまっている。 昔は、達人のもとでしか学べなかったことが、 いまは書物を通して、 自宅にいながら学ぶことができるのは幸せだ。 もちろん、一人で学ぶことには限界がある。 しかし、その限界を突破するために、 できうる限り手を差し伸べてくれるものが...
「証」というものについて、 非常に、まとまっている。 昔は、達人のもとでしか学べなかったことが、 いまは書物を通して、 自宅にいながら学ぶことができるのは幸せだ。 もちろん、一人で学ぶことには限界がある。 しかし、その限界を突破するために、 できうる限り手を差し伸べてくれるものが、 たとえばガイドラインというものであり、 本書のような、マニュアル的なまとめ集の網羅と、 それを通じた問題演習である。 数学でいう「チャート式」なのである。
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