商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2011/11/28 |
JAN | 9784309020655 |
- 書籍
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ゆみに町ガイドブック
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ゆみに町ガイドブック
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小説家の「私」、システムエンジニアらしき「雲マニア」、川を渡って黒い森から白い森へ逃れようとする「プーさん」。三層の物語で描きだされる、どこにもないけれどありふれた町のすがた。 『世界の果ての庭』パターンのやつ!あらすじがすこぶる書きづらい。けど『世界の果ての庭』よりは構造が...
小説家の「私」、システムエンジニアらしき「雲マニア」、川を渡って黒い森から白い森へ逃れようとする「プーさん」。三層の物語で描きだされる、どこにもないけれどありふれた町のすがた。 『世界の果ての庭』パターンのやつ!あらすじがすこぶる書きづらい。けど『世界の果ての庭』よりは構造がわかりやすく親切になっている。 雲マニアがいじくっている町が「私」のいるゆみに町、プーさんがいるのは「私」の頭のなかにあるディスティニーランド、さらに彼らを"観察"しているのはだあれ?ということなんだと思う。 「私」のパートはわりと面白い。厳選した365冊の本を揃えたブックカフェ、というステキなところから始まって月並みな揉め事でバッサリ落とす。本を選ぶ仕事は全うしたのになんでお金を返さなきゃいけないんだろ〜最初から下心しかなかったんだな佐久間さん。そこから「私」の過去という地図のなかをうろうろ探索することになる。 「雲マニア」のパートはメタ落ちみたいなものなんだけど、上位存在とかでは全然ない。記憶子を使って町を設計している彼は、「私」の海馬と前頭葉前皮質の機能を擬人化したようなものだろう。新しい記憶がなかなか定着しないっていうのは「私」が自覚していないトラウマ的なものの影響があるのかな。 プーさんのパートは複雑だ。「私」が作りだした世界で遁走する存在だということは言及されるが、「私」が書く小説と接続しているキャラクターとかではない。というか「私」はどんな小説書いてるのか何も情報がないな。このパートはプーさんというよりクリストファー・ロビンが重要なんだと思う。父親が語るお話の聞き手であると同時にお話の登場人物でもあるクリストファー・ロビン。記憶が形作るアイデンティティにとって人はみんなクリストファー・ロビンであり、それは本を読んでいる最中に起こる意識のレイヤー分けとも同じだということだろうか。 こうして読解していくと面白かった気がしてくるな。読んでいるあいだに感じたのは村上春樹っぽさだった。ヤダ味の抜けた春樹。そのぶん印象もぼや〜っとしているのだが、この人は強烈なものを書きたいとは思ってないんだろう。一番最後のジョウロで家に水をかける男のたとえ話はエッシャーの絵みたいで好きだった。これをポンと置いて終わるのは良い。
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おお~思いがけず難解であった。正直よくわからないけど、「フェンセンデンの宇宙」のような感じになってる? でもわかろうと思わずに読んでいれば、それはそれでいいのかなとも。なんの変哲もない町の皮を一枚はいだら、なんかわけのわからないことになってる、みたいな。そういうのはきらいじゃな...
おお~思いがけず難解であった。正直よくわからないけど、「フェンセンデンの宇宙」のような感じになってる? でもわかろうと思わずに読んでいれば、それはそれでいいのかなとも。なんの変哲もない町の皮を一枚はいだら、なんかわけのわからないことになってる、みたいな。そういうのはきらいじゃない。 あと、物語と詩についての考察がおもしろかった。 この話は「詩寄り」なのかな。
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2016_059【読了メモ】(160929 19:57)西崎憲『ゆみに町ガイドブック』/河出書房新社/2011 Nov 20th/『鏡の中の鏡』と三崎亜記の本を思い出した。そして、これは「ひっくりかえる話」だ。大の中に小があるなんて、うそなのだ。
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