刀剣の歴史と思想

酒井利信【著】

• 販売会社／発売会社: 日本武道館/ベースボールマガジン社
• 発売年月日: 2011/11/01
• JAN: 9784583104171

商品レビュー

2015/10/10

日本における刀剣の在り方を、その歴史的背景と思想の変遷を辿りながら見ていく作品。
見た目の厚さの割に文字が大きく行間が広いので、意外とすぐに読めます。

根底にある種宗教的な刀剣への思想をおきつつ、日本以外にもそのルーツを求めるため、アジアを中心に比較的広範に刀剣の歴史を見ることが出来ます。

自分ひとりではなかなかここまで多くの資料を当たることはできないため、刀剣の思想史の導入としてはよいのではないでしょうか。

ただ内容は面白かったのですが、根拠となる文献と筆者の持論との繋がりが滑らかに見えず、どうにも話の進め方にひっかかるところが少なくないです。
しかし、あくまで文献学にそれほど親しみがない人間の感想なので、もしかしたらこの分野ではこのくらいの書き方が普通なのかもしれません。

また、元が連載ものだったせいか、章をまたぐと何度も似たような説明に字数が割かれていて、通して読むと少しくどく感じます。
前述の論拠が薄く感じられる原因も、連載で字数が限られたせいかもしれません。難しいですね。

批判的なことも書きましたが、日本の文化・社会に深く根付いている刀剣について考えるきっかけを与えてくれたことに感謝です。