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20世紀の音楽 意味空間の政治学
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 音楽之友社 |
発売年月日 | 1985/04/01 |
JAN | 9784276370401 |
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20世紀の音楽 意味空間の政治学
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著者は音楽の専門家ではなく、社会学の人のようだ。 また、出版が1985年ということもあり、「20世紀の音楽」といっても、クセナキスよりあとの世代については触れられていないし、全般に前衛系の作曲家たちへの興味は低いらしい。ベリオ、クセナキスについては章をあてられているが、シュトック...
著者は音楽の専門家ではなく、社会学の人のようだ。 また、出版が1985年ということもあり、「20世紀の音楽」といっても、クセナキスよりあとの世代については触れられていないし、全般に前衛系の作曲家たちへの興味は低いらしい。ベリオ、クセナキスについては章をあてられているが、シュトックハウゼン、リゲティ、ブーレーズ、ファーニホウなどはない。 「私の二十世紀音楽をみる見方のポイントは、音楽が音楽独自の論理だけでなりたつ余地がなし崩し的に奪われ、音楽と政治、音楽と体制、音楽と機械というふうに、音楽が、複数の対語関係の一方の要素をならざるをえなかった世紀、という時代認識である。」(p.2 「はじめに」) この見方は私の考えていたこととは真逆である。むしろ宗教からも物語性からも、ロマン主義的個人主義からも、理性中心主義からさえも解き放たれ、さまざまな試行錯誤のなかで「音楽そのもの」へと純化していったのが20世紀だった、と私は考える。 この著者は社会学者だから、社会的な事象の地平からでしか音楽を語れないというだけではないのだろうか。 だからこそ、シュトックハウゼンのような前衛系の現代音楽については語るすべさえなく、モダニズム期に偏った記述しかできなかったのであろう。 この本の後半はすべてショスタコーヴィチに費やされている。この人、よほどショスタコーヴィチが好きらしい。 ショスタコのすべての交響曲、弦楽四重奏曲の、それぞれ第1楽章アレグロ、第2楽章・・・とか、初演データなど、やたらに詳しく書いている。 好きなのは構わないが、思うに、ショスタコーヴィチの音楽そのものはモダニズムあたりで止まっており、ソ連の政治体制による制約もあって純音楽的な意味では、彼の音楽はあまり発展することができなかった。彼の交響曲をどう解釈するか、ということをショスタコファンは重要視しているらしいが、それははっきり言って文学的・歴史的な問題であって、音楽そのものの純粋な探究とはどこかでずれてしまっているように思える。 あと、この人、例の「ショスタコーヴィチの証言」について、結局主情的な理由から「まぎれもなく真作である」と断言してしまっている。けれども、普通に考えて、あれは少なくともその大半が偽作として捉えておくべきなのではないだろうか? 結局、音楽の専門ではない人の本だけに、どうも甘いというか、的外れな部分を感じ取ってしまった。 エリック・サティを「神秘主義」の系譜に入れていることにもびっくりしたが・・・。
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