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希望の弁証法
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希望の弁証法

好村富士彦(著者)

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希望の弁証法

1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 三一書房
発売年月日 1978/02/01
JAN 9784380782008

希望の弁証法

¥1,980

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2011/10/16

E・ブロッホ論、ベンヤミン論を含む著者の論文集。ただし収められている文章の一部は、同じ著者の『ブロッホの生涯』(平凡社)および『遊歩者の視線』(NHK出版協会)と重複している。 ブロッホ論では、ルカーチの思想との相違点が比較的ていねいに論じられている。著者はルカーチの『歴史と階...

E・ブロッホ論、ベンヤミン論を含む著者の論文集。ただし収められている文章の一部は、同じ著者の『ブロッホの生涯』(平凡社)および『遊歩者の視線』(NHK出版協会)と重複している。 ブロッホ論では、ルカーチの思想との相違点が比較的ていねいに論じられている。著者はルカーチの『歴史と階級意識』とブロッホの『ユートピアの精神』の問題意識が近いものであることを確認しながらも、ルカーチの分析が、もっぱらプロレタリアートの階級意識が「自由の国」を実現することで、歴史過程においてはじめて主体と客体との同一性が実現されるという点に注がれているのに対して、ブロッホの関心は、商品として客体化されたプロレタリアが階級についての意識をもち、自己を解放するに至るプロセスに向けられていたと論じている。ブロッホの議論がノヴァーリス的な「自己との出会い」に根ざしているのは、このためである。 さらに著者は、『ユートピアの精神』における音楽理論が、若きルカーチの著書『小説の理論』ときわめて近い発想に基づいていることを指摘する。だが、長編小説こそがそれ自体において完結した円を形作る生の全体性を十全に表現すると論じているルカーチの議論には、生の同一性への志向がはっきりと示されているのに対して、音楽という表現手段は形式の相対的完結性を打ち破る「開かれた体系」を形づくるとブロッホは主張する。ここに著者は、思考の展開の手がかりを小説に求めるか音楽に求めるかという両者の資質の違いが、後年の二人の基本的な立場の違いをすでに示していることに読者の注意を喚起しているが、興味深い指摘だと思う。 また、論文「ファウスト像の現代的問題性」では、H・アイスラーの歌劇台本『ヨハン・ファウストゥス』を中心にトーマス・マンやブレヒトらの思想的交流を描きながら、ファウスト物語というドイツの精神的遺産からくみ上げたエネルギーを民衆の解放へと向けて「機能転換」(Umfunktionierung)する可能性を見ようとしている。

Posted by ブクログ

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