商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 山川出版社 |
発売年月日 | 2011/07/30 |
JAN | 9784634150164 |
- 書籍
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GHQ知られざる諜報戦
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GHQ知られざる諜報戦
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
GHQG2トップの、正義のアメリカが野蛮で残虐な敗戦日本に寛大な処置を与えた、それは偉大で完璧超人のマッカーサー元帥のおかげなのだ的な回顧録。 日本の敗戦共産革命を防いでくれた方なのだが、やっぱ尊大な米国人か。 ちょっと鼻につく感じ。
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諜報やスパイ活動。俄かには信じがたい。創作や映画の中の世界であると考えてしまう。しかしながら、本作品を読むと、この日本でも、そして朝鮮でも、あからさまな諜報活動が繰り広げられていたことがわかります。 ところで、第二次世界大戦時のスパイと言えばゾルゲの存在は有名です。彼の日本でのスパイ活動については章を割いての記述があります。なんと表現すればいいかわかりませんが、うん、衝撃を受けました。人を騙すってことは普通は後ろめたいと思うのです。しかも人にも打ち明けられない。何か強く信じるものがないとなかなかできないだろうと。ゾルゲは共産主義を信じ、そして日本の警察に捕まり、処刑されてしまいました。 しかしまあ、なんというか、「儚さ」を感じてしまいます。 ゾルゲをはじめ多くの処刑された共産スパイ、そしてきっと中国やソビエトなどの共産主義圏でも、身バレして処刑された資本主義側のスパイが多くいたはずです。彼らの死から時は流れ、現在では純共産主義国家は北朝鮮とキューバのみとなり、中国やベトナムも資本主義を実質的には採用する世界となりました。 つまり当時命を懸けて実現しようとしていた思想はほぼなくなり、また資本主義陣営でも資本主義が決して完全ではないと、人が薄々欠陥を感じているような時代になりました。 その中で命を落としていったスパイ達の命は一体何だったのでしょうか。そういう時代だった言われればそれまでですが、数十年経った今から見れば、思想のフロントラインで戦い死んでいった人たちの死は犬死ににしか思えなくなってきてしまうのです。 こうした死を積み重ねて人類の進化があると言えばそれまでですが、他方で歴史は繰り返すという恐ろしい言い回しを前にすると、マルクスが「宗教は民衆の阿片である」と語ったのは言いえて妙と言えます。身の安全を真っ先に考えるのならば思想や宗教にはコミットしすぎないのが一番いいのかもしれない、とぼんやり考えてしまいました。 また、ゾルゲと同じくらい印象的であったのは、GHQに多くの怪しげな人物が雇用されていた事実です。 戦後、資本主義陣営では反共の嵐で吹き荒れていました。更にウィロビー少将はコテコテの反共主義者で、偏執狂的にGHQ内の親共産主義者をつぶしにかかっています。 それでもなお、米国本国の承認の下、親共産主義者がGHQに職位を得ているのです。今よりも社会の流動性や自由も少なかった時代ですよ。なぜでしょうか。親共者の雇用を可能にしている勢力がアメリカ本国にもいたはずなのです。つまり、当時の米国にも既にソ連や中国の流れを汲むスパイが存在していたはずなのです。でなければ親共主義者がGHQへ就職ができた理由には説明がつきません。 ならば国家の政策や方針とは、畢竟一様には決まらないのでしょう。私たちが単純に資本主義とか社会主義とかとらえている国や社会は、普段考える以上にモザイク様を示すのかもしれません。 また、軍と政治との温度感の隔たりが大きいことも非常に印象的でした。 マッカーサの意見はもとよりウィロビーが諜報の末に得た情報も、必ずしもワシントンの政治家に聞き入れられたわけではないようだからです。 特にトルーマン大統領はマッカーサを毛嫌いしたようですが、軍人はじめ謂わば『専門職』の方は、目の前の事実だけをぶち上げるだけではなく、政治家をも動かす懐の広さ、現代流に言うと『部下力』が問われるのでしょう(ある意味政治力でしょうか)。 ここから想像されるのは、仮に日本でインテリジェンス機関があってもそれだけではきっと機能しないのだろうということです。使う側でも情報を受け止める懐の深さや判断力・知見が必要になるからです。しかるに日本の政治家のレベルは言うまでもないため、日本が諜報機関を持っても有効活用には程遠いという哀しい見込みが立ちます。この点、元外務省の佐藤優氏が『インテリジェンス 武器なき戦争』で日本もインテリジェンス機関を持つべき、と主張していましたが、政治家の使用者資格についてはどう思っているのか知りたく思いました。 ・・・ 改めて書きますと、本作はこてこて反共主義の軍人の書いた日本占領時代の諜報活動の回顧録です。非常に資料的価値が高い読み物だと感じました(山川出版社ですから)。大分長々と書いてしまいましたが、結構考えるヒントが豊富な本だと思います。歴史や思想に興味のある方にはお勧めできます。
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【レビュー】 ★ひとつ減らしたのは、著者の反共産主義(これはこれでいいと思うのだが)が出過ぎではないかと思ったからで、それをさっぴけば必読の書である。これは購入すべし。敗戦直後の歴史の裏がよーくわかる。社会科の先生は絶対読むべしのレベル。 【特記事項】 ・ペリー提督はすでにアメリ...
【レビュー】 ★ひとつ減らしたのは、著者の反共産主義(これはこれでいいと思うのだが)が出過ぎではないかと思ったからで、それをさっぴけば必読の書である。これは購入すべし。敗戦直後の歴史の裏がよーくわかる。社会科の先生は絶対読むべしのレベル。 【特記事項】 ・ペリー提督はすでにアメリカと旧ソ連の対立を予告していた。 ・ペリーの旗艦にひるがえっていたアメリカ国旗が、降伏文書調印時に戦艦ミズーリにもマッカーサーがひるがえした。 ・戦後、イギリスは日本をポンドブロックに置こうと画策したが、マッカーサーがそれをはねつけた。著者も含め、これがイギリスの不興を買い、マッカーサー解任の原因の一つになったのではないか、と思っている人もいる。 ・著者ウィロビーは、原爆投下必要性なかった、という立場。 ・内大臣秘書官長松平康昌がいろいろ情報を提供した。 ●マッカーサー「我々は、肉体を救おうと思うなら、まずは精神を救うことから始めなければならない!」 ●降伏日現在、698万3000人の兵員が健在で、本土には257万人がいた。 ●本書は、ゾルゲ事件にまつわるエピソードを語る点で優れている。アグネス・スメドレーは徹底否認したが、ゾルゲとつながっていた。 ●G2のウィロビーが鷹派で、CSのホイットニーが鳩派のような感じ。最初はCSが強かったが、反共の流れでG2が優位に。これがもろに占領政策に影響した。 ・平野力三農相の追放に関しては、日本の裁判所が取消しの仮処分をするや、CSは最高裁長官を呼びつけて、追放に関しては日本に裁判権はない、と告げた。 ●ウィロビーは、憲法作成において有名なシロタ・ゴードンを始め、GHQの内部調査をしているが、これはやりすぎたと思う。 ●本書の朝鮮戦争の勃発前・中・後に関する詳細な報告は絶対に一読すべし ・ウィロビーは、自分はさかんに警告を送ったのにワシントンは無視した、と本書でのべているが、ウィロビー自身ある報告の中で、戦端が切られる可能性は低いと結論していた。 ●Z機関、キャノン機関 ・38度線を超えて進軍したのはワシントンの許可あり。 ●ウィロビーは吉田首相に対し、日本が再軍備したおりには参謀総長に服部卓四朗(大本営作戦課長や東條陸相秘書官などを歴任)を据えるように言ったが、吉田もさすがにこれには激怒して即座にはねつけた。これはウィロビーの思想的体質を表している。
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