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大岩壁
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瓜生卓造(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 毎日新聞社
発売年月日 1981/09/01
JAN 9784620101347

大岩壁

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2022/09/29

「瓜生卓造」の山岳小説『大岩壁』を読みました。 古本屋でみつけて、何となく読んでみたくなったんですよね。 -----story------------- 始めて滝谷を攀じた男たちのドラマ 日本アルピニズムの黎明期に、「翼ある鳥でも登れまい」と言われた穂高滝谷の初登攀を同日に...

「瓜生卓造」の山岳小説『大岩壁』を読みました。 古本屋でみつけて、何となく読んでみたくなったんですよね。 -----story------------- 始めて滝谷を攀じた男たちのドラマ 日本アルピニズムの黎明期に、「翼ある鳥でも登れまい」と言われた穂高滝谷の初登攀を同日に争った二パーティー。 岩と人との格闘を再現し、"三十分の謎"に挑む本格的山岳小説。 ----------------------- 大正14年(1925年)8月に穂高岳滝谷への初登攀を目指していた「藤木」と「四谷」の二組のパーティー… 現地近くの宿で一緒になった一行はお互いの目的を知り、協力して一緒に登攀を目指すことにするが、、、 待ち合わせ時間の誤解か、どちらかの時計が狂っていたのか、それとも意図的に出し抜いたのか… 「藤木パーティー」が先に出発し、「四谷パーティー」は30分の遅れを取り戻せず、「藤木パーティー」が初登攀の栄光を手中にする。 日本アルピニズムの黎明期を飾る初登攀に生じた30分の謎に迫るとともに、その数日後、豪雨の中で滝谷を登攀した「好日山荘」の創業者「西岡一雄」等のエピソードや、その後滝谷への登攀が、どう変わって行ったのかを描いたドキュメンタリー風の物語です。  ■一 滝谷への道  ■二 出会い  ■三 その前夜  ■四 雄滝試登  ■五 チムニー突破  ■六 滝谷完登  ■七 稜線の夜  ■八 藤木パーティー  ■九 豪雨の滝谷  ■十 三十分の謎  ■十一 人工登攀  ■十二 残った痼  ■あとがき  ■登山用語 本作品が執筆された際には、ほとんどの関係者が鬼籍に入っており、特に30分前に出発した「藤木パーティー」のリーダーで登山界の重鎮「藤木九三」が真相を語らないまま亡くなっているので、謎は謎のままなのですが、、、 存命中で「四谷パーティー」の一人「小島六郎」の証言や、「藤木九三」や「四谷龍胤」、「小島六郎」の、それぞれの著書(紀行)を分析すると、功名を狙った「藤木九三」の意図的な抜け駆け(策略)だったのでは… という推測に辿り着き、双方のパーティーの6名を初登攀者とすべきという論調で締めくくられていました。 一読者としては、判断する材料が本書しかないので、著者と同じ結論に行き着いてしまうのですが、、、 登山(登攀)って、1位や2位を争う純粋なスポーツ競技とは、ちょっと違う感じがするので、そんな争いをすること自体が、相応しくない感じがしました… 私自身は趣味で低山の山登りをする程度で、クライマーではないので、感覚が違うのかもしれませんけどね。 そして、読んでいて最も印象に残ったのは、装備や技術の違い… 当時の装備や技術で困難な登攀を成功させた苦労が伝わってきましたね、、、 岩壁用の鋲靴よりも、草鞋(わらじ)の方が安定していて、濡れた岩場では最高の登攀用具だと回想されているし、滝の水や雨を油紙で避けるシーンがあったり、道具も30メートルのザイル程度で、あとは自分の身体を使って登るしかないという状況… 穂高岳滝谷は、現在では、そう難易度の高い登攀コースではないようですが、それには、道具や用具、技術の進歩が大きく影響していることに改めて気付かされました。 クライミングまではできませんが、、、 山の匂いを濃厚に感じられる文書を読んでいると、低山を散策したくなりました… 秋になったら出かけようかな。 ちなみに、、、 甲子園球場のアルプススタンドの命名者は「藤木九三」なんだそうです… あまり気にしたことがなかったですが、よくよく考えてみると山男ならではの命名ですよね。

Posted by ブクログ

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