商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1994/04/01 |
JAN | 9784003108925 |
- 書籍
- 文庫
菜穂子 他五編
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菜穂子 他五編
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商品レビュー
3.9
11件のお客様レビュー
発話されない心的動き。 堀辰雄にとって小説らしい小説というのは、動作ひとつひとつが心理的作用であることなんだろうな。 歯がゆさはあるけど、それがスタイルなんだろうな。
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「風立ちぬ」が儚く美しい恋愛ものだとすれば、今作はよりリアルな生の不安と幽かな愛の香りが描かれた作品だと思う。息苦しくなるほどの切実さのこもった生の実感の希求、人との関係に付き纏う孤独。菜穂子に惹かれるのと同じだけ、彼女のまなざしに対して嫌悪も感じられた。 夫と姑と別れ、高原の...
「風立ちぬ」が儚く美しい恋愛ものだとすれば、今作はよりリアルな生の不安と幽かな愛の香りが描かれた作品だと思う。息苦しくなるほどの切実さのこもった生の実感の希求、人との関係に付き纏う孤独。菜穂子に惹かれるのと同じだけ、彼女のまなざしに対して嫌悪も感じられた。 夫と姑と別れ、高原のサナトリウムで一人過ごしながら、全てから解放された時間をある種しあわせと感じ、半分枯れたままで立ち続ける木に自分の姿を重ねる…。そんな菜穂子と、彼女の幼なじみで病をおして一人あてのない旅に出る明が”不しあわせ”で愛おしくて最後の方はたまらず涙が出そうになった。 病んでいる人間だけが見ることのできる世界があって、特に病んだ人が不思議なエネルギーを発揮する話が好き。その点今回、梶井基次郎の作品と似た要素を感じたんだけど、梶井作品が「自分一人の世界の本能的な行動」のようであるのに対して、こちらは「人とのつながりから切り離せない衝動」なんだ。
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堀自身が述べるように「粗描」に終わった菜穂子編であるが、その一群の短・長編には作家の強い強い「浪漫」への意気が読み取れる。 しかし、これほどの作家が成し遂げえなかった「複層的な物語を紡ぐ」という試みを、現代において何遍も成功させている幾人かの著者たちは、いったいどういう天恵を帯...
堀自身が述べるように「粗描」に終わった菜穂子編であるが、その一群の短・長編には作家の強い強い「浪漫」への意気が読み取れる。 しかし、これほどの作家が成し遂げえなかった「複層的な物語を紡ぐ」という試みを、現代において何遍も成功させている幾人かの著者たちは、いったいどういう天恵を帯びているのだろうか。
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